Eyes On Me

□その7
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不知火さんが言ったことを、色々気にしてしまって 昨日はなかなか寝付けなかったし、今朝も早く起きてしまった…。

まだ夜明け前だ

朝餉にはまだだいぶ早すぎるけど、二度寝もできそうにない。
水でも飲みに行こうかな。

くっ と背伸びして布団から出る。

部屋の襖を開けると…

「っ!?」

襖の前にいたのは 千景様…!?

私が出てくるとは思わなかったのか 千景様は目を見開いて驚いていた。

千景様がこんなに驚く顔なんて 初めて見たかも…

じゃなくて!

「千景様…こんな時間にどうしてここに…?」

「………今朝も早くから仕事だ。体を起こすのに少し屋敷内を歩いていた。それだけだ。」

なんだ…偶然私の部屋を通りかかったときに 襖を開けてしまったのね。

そうだよね。千景様がこんな時間に私に会いに来るなんてないし

…昨日 不知火さんが変なこと言うから 意識しちゃっただけ…。

「お前こそ ずいぶんと早起きだな。」

「えっと…なんだか早く起きてしまって。水でも飲みに行こうかと…」

そう言うと 千景様は口の端を軽く上げ 笑みをうかべる

「……水だけとは言わず、早めの朝餉でもつき合え。それと……寝間着のままで屋敷内をうろうろするな。」

千景様が私の体に視線を向ける。

「!!」

見れば、寝乱れしてしまったのか 胸元が花魁のように大きく開いていた。

こんな時間に誰かに会うなんて、思ってもなかったから つい着衣の乱れも確認もせずに部屋を出てしまったのだ。

私はあわてて胸元を手で合わせ、千景様に背を向ける。

…は…恥ずかしい。


千景様はそっと私の部屋の襖を閉じ、

「天霧に朝餉を用意させよう。先に広間で待っている。着替えてから来るがいい。」

部屋から遠ざかっていった。

…今のこともあって 正直千景様と食事なんて気が進まないんだけど、断る機会を完全に逃してしまった。

着替えて向かうしか ないか。
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