夢の書庫第3室

□第8話
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デスコールの機械に苦戦していた私たちだったけれどラグーシのおかげで勝利を掴んだ町を何とか救った私たちだったけれど

ラグーシは傷ついて弱っていた…


「これで終わったんだ・・・」


「手ごわい相手でしたね教授!」


『まだ終わっていない(ボソ』


「精市さん?」




「きゅょえぇ〜!!」


突然ラグーシの叫び声が聞こえた

「ん?ラグーシ・・?」


私はすぐにラグーシに駆け寄ったラグーシは私に目もくれずダムの歩へ向かっていった

体中の傷が痛々しい…後ろから先生たちが走ってくるのが分かる

ダムの正門に着くとラグーシは正門に体当たりし始めた

《ラグーシ!何やってんの傷だらけで!!》

《で…でも!時間がないんだ!!》


どんなに話しかけても体当たりをやめる気配がしない必死に体当たりを続けるだけ


ラグーシの体当たりに水門が揺れる


「何をしてるの!?」


先生たちが追いついてきてユラがラグーシに話しかけた


「ラグーシやめて!戦いはもう終わったの!」


ユラの訴えにもラグーシは反応せずそれどころか体当たりが強くなっていく


〜♪
〜〜♪


ユラが笛を吹いても落ち着く雰囲気がない


「えっ・・どうして!?」


『ラグーシ・・!!』


「どうしてどうしてこんなことをするの!?」


ユラはそういうと近くにあった石を拾いラグーシに向かって投げた


「もう、あなたなんか友達じゃない!絶交よ!!」


『ユラ!!』



石が当たったらラグーシは振り返って悲しそうな顔をしてまた体当たりを始めた


「ラグーシ・・どうして」

「ラグーシやめるんだ!」

「やめてラグーシ!!」


《時間がないんだ!!!ユラをあそこに…!僕が連れていく時間が!!》


三人が呼びかけるとラグーシは何かを訴えた

ルークはそれを聞いて困惑した表情になった

「え?「時間がない」ってどういうこと!?」



『水門を壊せばいいんだねラグーシ』


「精市君?一体なにを…」


この際だからいっか見せてもでも後で此処の記憶だけは消しておこう


『‟星”の力を秘めし鍵よ!真の力を我の前に示せ!新たな主光が命じる【封印解除!】』

杖に戻しますw

ん〜カードはどうしようかな

「ヒカリ?」


 『水よ!霧よ!雷を!我に力を貸しダムを壊せ!【水(ウォーティー)】【霧(ミスト)】【雷(サンダー)】!!!!』


私は3枚同時にカードを使うそうすると一気に壊れていく水門





「まずい!水門が決壊する!みんな高い所に移動するんだ!」


水門が決壊してあふれた水。水は町を襲い空になったダムに入りラグーシは大きな何かの前でとまった


「あれは…紋章?」

「かなり古いものですね教授」

「何か仕掛けが・・」


ダムの底に現れた紋章の謎を解くと紋章が移動し地下への扉が開いた


「これは・・」


「すごい!」


「きれい・・!」

「この穴はいったいどこに繋がっているんでしょうか?」


地下へと降りて奥へと進んでいく中は幻想的できらきらと輝いていて本当に楽園と呼ぶにふさわしいと思う


「わぁ・・!すごい!!」

「おお・・」

「うわぁ〜!」


「これはいったい!」


『地底の天井に空いた穴は地盤の水晶によって鏡の筒のような状態になっている

その穴から差し込んだ太陽光でここは地底でありながら緑あふれる【楽園】となっているんだ』


「これが【黄金宮】の正体ですね・・」


「失われた楽園【ロストランド】」


「ああ、この楽園は黄金以上に価値のある存在だ特にユラにはね」


「私に?」


「ここの空気は澄みきっているこれならユラの病気も治せるかもしれない」


『ラグーシはここにユラを連れて来たかったんだよ貴女がここで病気が治せると知っていたから』


「そう…しかしここがデスコール達の手に渡ってしまえばそれができなくなる

だからラグーシはデスコール達を排除しようとした」


『ユラ全て君のためになんだよ・・?』


あれ?涙で視界がかすんで・・ユラの方を向いて言ったけれど視界が涙でかすんでいてよくわからなかった


「そういうことだったんですか・・ああっ!」

「きゅ〜!!」


ラグーシが鳴いたかと思うと水しぶきをあげて倒れてしまった


「ラグーシ?ラグーシ!!」


ぐったりとしている目をうっすらとあけてユラとトニーを見たユラとトニーはラグーシに駆け寄る


「あなたは私のために…こんな贈り物を…!」


「ラグーシ・・」

「ごめんね、誤解しててやっぱりあなたは私たちの味方だった」


ユラの言葉にこたえるように力なく鳴くラグーシ…


「ラ・・ラグーシ・・死ぬなよラグーシ!
また俺達を背中に乗せてくれよ!!」


トニーの言葉と涙にも力なく鳴いた


「ラグーシ?ラグーシ!!」


ユラの呼びかけにも答えずラグーシはそっと目を閉じた楽園にはトニーとユラの泣き声が響く


「ラグーシ」


「君にも聞こえたかい?」


「え?」


「ラグーシが君に【ありがとう】って」


ポロポロと耐えきれない涙が流れてユラは声を上げて泣いた


『ここは太古の昔より時間が止まってしまった楽園だったんだ恐らくラグーシはここで生まれた

まだ小さかった頃に親を亡くし独りぼっちになっていたのだろう

そんな時たまたま地底のトンネルを通って行き着いた湖にユラとトニーに出会ったんだ』


「友達…だって俺達、友達だったからさ」


「そう…だからラグーシは何度も会いに来た

私達には誰もいなかった他には誰も…父が作った財産は町の人達を苦しめて作ったもの

町の人達は父が死んだ後も私達に近付こうはしなかっただから、私達はずっと二人だけで暮らしてきた二人だけで…」


「…それは違うよ町の人達はユラ達を心配していたユラが町の人達のことを誤解していたんだよ」


「…えっ!?」


ユラはルークの顔を見た

優しそうな笑顔にユラは全てを悟った



「私、病気をしているってだけで誰にも心を開かず閉じ籠っていた町の人達に距離を置いていたのは私の方だったんだ…」



「病気さえ治ればユラはまた心を開いて町の人達とも仲良くやれるラグーシにもそれが分かっていたラグーシはユラを町に戻したがっていたんだ」


「人は人の中でしか生きられない…」


『本当に独りぼっちだったのはラグーシの方だったんだだからラグーシは君に言ったんだ【ありがとう】って』


「私の方こそ…」


「えっ」


「『ありがとう』」





ユラはラグーシが沈んだ水底に向かって笛を吹いた

様々な想いを乗せたその音色は今まで聞いた中で一番綺麗な音だった
.

「・・・わたし病気をしているってだけで閉じこもっていた距離を置いていたのは私の方だったんだ・・」


「ラグーシはユラを町に戻したがっていたんだ」


楽園にルークとユラの会話が浸透していく響くようにして耳に伝わっていく私はそっと目をつぶった


『本当に一人ぼっちだったのはラグーシの方だったんだ…だから言ったんだ【ありがとう】って』



「私の方こそ・・ありがとう」



〜〜〜♪

〜〜〜〜♪

〜〜〜〜〜♪

〜〜〜〜〜〜〜♪


私はさっきも引いた曲を吹く安らかにラグーシが眠れるように
 


  

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