Short(log)
□片思い症候群
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あれから、何日か過ぎたが、俺とナマエの関係に進展なんてない
だだ、ナマエは相変わらず承太郎さんを好いているようだ
それが嫌で、俺はナマエに振り向いてもらいたい気持ちを精一杯出すが、ナマエは気が付いていない
「ナマエよォ……最近お前、承太郎さんばかりじゃあねぇかよ」
「いいじゃん……承太郎さんカッコイイもん」
「……カッコイイねぇ……」
ナマエに気が付いてもらいたくてそう言っても、ナマエはカッコイイと言っている
その度に俺はジワジワと独占したい欲が出てくる、束縛なんてナマエが嫌がるに決まっている
でも、ナマエが俺を見てくれないのだ、どうすれば見てくれる?
「ハァ……」
思わず溜め息をついてしまう、当の悩みの種ナマエはシレーッとした様子でコーヒーを飲んでいる
机に顎を乗せ、グテーッと体を伸ばすと、だいぶ気持ちが落ち着いた
「仗助、なんか悩み事?」
普段見ない俺の行動を見てか、ナマエがようやく気が付いてくれた
内心嬉しい気持ちでいっぱいだったが、表情には出さず俺は遠回しにナマエの事を言う
「まぁな、俺こう見えても紳士だからよ女が嫌がる事はしたくねぇんだよ、でも、ソイツはどうにも別の男の事を好いてるみたいでよォ」
「片思いってやつだねぇ……青春だ」
「うるせぇ」
ナマエは俺の言葉に若干口角を上げながらそう答えてきた
心の中でお前の事を言ってんだよと、思いながらもナマエに返すと、ナマエはクスクスと笑い出した
ジワジワと独占したい欲がまた出てくる、この笑顔を承太郎さんには見せたくない、この笑顔だけは俺の物なんだと思いたい
そんな事を思いながら、俺は気分を紛らわせるため、また甘めのココアを飲んだ
「ねぇ、仗助」
「あぁ?」
「仗助って意外にせっかち?」
「んー?そんな事ねぇと思うけど……」
ココアを飲んでいるとナマエが急に俺の名前を呼んできた
カップから口を離しながら返事をすると、ナマエは急に俺の事をせっかちだと言ってきた
そんな事言われた記憶はないと思いながら答えると、ナマエは携帯を見ながら
「でも、今日私が集合時間遅れた時、着信が三十件もあるけど……」
と、言ってきた、確かに今日はナマエは遅れてきた、そして俺は心配で電話をした、それがなんだと言うのか
そう思いながら俺は、笑いながらナマエの言葉を返す
「お前が遅れるのが悪いんだろォ?」
「そうだけどさァ……ずっと携帯鳴りっぱなしでビックリしたよ」
「また変な目にあってるかもって思ったらそんだけ電話したくなるんだよ」
「そんなもんかなぁ……」
俺の言葉に若干納得したようにナマエは携帯を仕舞った
そんなナマエの行動を見ながら俺はまたココアを飲み干した
いつになったらナマエは俺を見てくれるのかと考えながら、綺麗な笑顔を俺に向けるナマエを見てそう思った