Short(log)

□理想を目指してみる
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私の兄はあの有名な漫画家、岸辺露伴だ

常にリアリティを求め旅行に行ったりするが、度々、妹の私を巻き込む事もある

傲慢な態度、漫画のためと言い、血の繋がった妹に無茶な命令をする……どこで道を間違えたのか……それとも昔から間違えていたのか……昔の事は、だいぶ前に急に出現した兄の不思議な能力、スタンドの被害にあった私は思い出せなかった

最も、すぐに制御できて被害は全くない……が、時々文字を書かれる……

そんなノーマルとは言い難い人間が私の兄、岸辺露伴だ


「ナマエ、アイス買って来い」

「ハァ?」


ソファでくつろぎながら雑誌を読んでいると後ろから兄、露伴が命令してきた


「露伴兄、こんな日にアイス食べるの?」


そう言いながら体を起こして窓を指さす、外は梅雨の時期のせいか雨がしとしと降っている

こんな日にアイスなんて単語は不釣り合いだ、ドロってなるだろうアイスが

しかし、オレ様何様露伴様の露伴兄は財布を取り出し、お札を一枚渡すと


「釣りはやるから買ってこい、今食べたいんだ」


と、言ってきた、オレ様の兄を持つと本当に苦労する……

内心、溜め息をつきながら私は立ち上がり、玄関に向かった


「あ、バニラ味な、スタンダードな味だからな」

「はいはい、分かりましたよ」


部屋に戻りながら姑息に味まで命令をする露伴兄に呆れながら私は傘をさして外に出た


「うわぁ……湿気ヤバイ」


外に出るとクーラーがついた部屋とは大違い、むわっとした湿気が私を包んだ

なんとも言いがたい気持ちで私はコンビニに向かった


「おっ!!ナマエじゃあねぇか」

「おめぇ、こんな雨になんで外出てんだ?」

「あ、クソッタレ仗助とアホの億泰」

「……露伴か」

「そーそ、よくわかったね」


コンビニに向かっている最中、学校からの帰宅途中か、仗助と億泰に会った、どうやら康一君はいないようだ

少し残念に思いながらも二人に近づく、髪型は凄い整ってる


「またなんか頼まれたのか?」

「露伴先生ナマエ使い悪ぃもんな」

「流石仗助、よく分かってる、アイス買って来いってさ」

「ハァ!?こんな日にアイスゥ!?あのヤロー何考えてんだ!!」

「ん?そんなにビビる事か?俺は別に冬でも普通に食べるけどよ?」

「冬のアイスは分かる、でも雨の日、しかもこの湿気の中のアイスはまずいだろ……こう、ドロって……なっ?」


そんな事を話しながら私達は横に並んで歩く、相変わらず背がデカイ

高い身長に少し憧れながらも二人と一緒にコンビニに入った


「露伴兄からは、お札一枚しか貰ってなかったけど、安いのなら私が奢ってあげよう」

「マジっスか!!」

「やったな仗助ェ!!ありがとうよナマエ!!」


腰に手を当て、露伴兄のように偉そうにそう言うと、二人はガッツポーズをしながら喜んだ

そして、デカイ身長からは考えられないスピードで二人は一番スタンダードと言えるお菓子を私に渡した

それを受け取り定員に渡す、もちろん露伴兄のバニラアイスも忘れない

そしてコンビニを出て、二人にお菓子を渡す


「なんか悪ぃな、ナマエ」

「別に、露伴兄よりマシだから」

「どんだけ露伴先生嫌ってんだよ」

「嫌ってる……と言うか……傲慢な態度が嫌」


仗助と億泰とそう会話しながらコンビニの横の少し空いたスペースにたむろする、丁度屋根もあるので雨を凌ぐのには最適だ


「そう言えばよォ、ナマエは露伴先生のアシスタントとかしてねぇのか?」

「露伴兄にはアシスタントなんて要らないでしょ……でもリアリティの為とかでこき使われる……」

「うわぁ……えげつな……妹だもんなァ、断りにくそうだな」

「私も露伴兄みたいに"だが断る"とか言いたいよ」

「想像できねぇよ」


私の愚痴を哀れみの目を向けて見てくる二人の顔を見て思わず溜め息が出る


「どうせなら、仗助や億泰みたいな兄が欲しかったよ……あ、でも康一君も捨てがたい」


二人の顔を見て、笑いながらそう呟いた時、二人は急に私の背後を見て目を見開いた

?……私には露伴兄みたいな不思議な能力なんてないよ?なにやってんだこの二人……?

そう思いながら二人に声をかけようとした瞬間


「悪かったな、君の理想の兄じゃあなくて」


と、露伴兄の声が聞こえた、しかも声色がいつもより低い……つまり怒っている……

苦笑いをしながら振り向くと思った通り、若干こめかみに血管を浮かせながら笑い切れていない笑みを浮かべる露伴兄がいた


「ろ……露伴兄……」

「……や……やべぇ……」

「……お前達、即刻ここから立ち去ってもらおう、僕はこれからこのスカタンに説教をするからな」

「……いやでも、ナマエは……」

「即刻立ち去れ」

「……生きて帰ってこいよ……ナマエ!!」

「ちょっ!!億泰!!待って!!仗助助けてぇ!!」

「……東方仗助はグレートに去るぜ!!」

「何訳の分からない事を言ってんの!!なんかどっかで聞いたことあるよそれ!!」


露伴兄が二人を睨むと二人はなんと私を置いてコンビニを離れて行ってしまった

思わず冷や汗が流れる、そんな私を露伴兄は静かに見下ろしていた


「あ……あはは……露伴兄、奇遇だね」

「馬鹿か、帰るぞ、家に着いたらそのバニラアイスを食べながらお前を説教してやるナマエ」

「ちょっ!!待って下さいよォ露伴お兄様ァ!!私は別に悪い事なんて……ほら!!アイスも買って……」

「前みたいに記憶を奪われたくなかったら黙れ」

「ういっす」


露伴兄の機嫌を取ろうと腰を低くして敬語を使ったが効果はなかった
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