Short(log)

□言葉の続き
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(政宗視点)


砂煙が立ちこもり、様々な悲鳴が聞こえ、風が血の臭いを運んでくる

初めてその情景を見るやつはおそらく、口を揃えて言うだろう


"地獄だ"と


そんな地獄の様な場所に、俺は刀を一本持ち、目の前のやつから視線を外さないように見ていた

すると、そいつはゆっくりと刀を抜き、俺に切っ先を向けて


「今日が決着の時だね……政宗」


と、少しドスの効いた声で言ってくる


「ha!!上等だ、どっちが勝つかpartyといこうじゃねぇか」

「……アンタが言ったあの返事もしなきゃね……」


そう言い合い、俺達は衝突した

そして、場面は変わり、何かの終りを告げる笛の音が聞こえた

だが、俺は目の前でただ冷たくなっていくやつに集中をしていた


「……結局……私が…負けかァ…」

「……ああ、そうだな…大丈夫か傷」

「なにそれ……アンタが斬ったのに心配?……笑える…」


確かにそうだ、矛盾してる……だが、俺は……

その先の言葉を胸にしまい、冷たくなっていく頬を撫でる


「……なぁ、最期になにか言いたい事あるか?」

「なにそれ……同情……?」

「そんなんじゃねぇよ」

「じゃあ……最期に……」


馬鹿にするように少し弱めにヘラヘラと笑うやつを見て、俺は腰を下ろして話を聞く事にした


「アンタさァ……以前私に……直接会って……きたよね……」

「……ああ」

「あれの……返事が……決まったよ……」

「今更かよ……遅い」


空をぼんやりと眺めながら、少し前の話をしてきた

確かに俺は以前、コイツに直接会った、どうしても言いたい事があったんだ


「……"俺の事……どう思う?俺はお前の事……好きだけどな"……って言った時の返事か?」

「そうそう……それ」


俺が以前口にした事を言うと、少し照れながら笑った

そして、直ぐに悲しそうな顔をして


「あれさ……返事は無理……だって私は……」


そこまで言って、ソイツはゆっくりと目を瞑った

事切れたと直ぐに理解した、俺はゆっくりと立ち上がり


「……途中まで言って……死ぬんじゃねぇよ……」


と、呟いた

そして、拠点に戻ろうと背を向けた時


「私はアンタの事大嫌いだから」


と、ドスの効いた声が聞こえた


ピピピピピピピピ……


「……またあのdreamか……」


ゆっくりと目を開け、体を起こす

あのdreamを見たせいか全く寝た感じがしない

小さく溜め息をつき、右目に眼帯をつけ、大きく伸びをしてbedから降りた

アレは昔からよく見る……いや、昔と言っても中学入った時か……?気味悪いんだよな……最後が

そう思いながら、schoolに行く準備をする、どう足掻いてもこの義務からは逃げられない……小十郎の小言もうるせぇしな……

そう思いながら欠伸をして、俺は家を出た


「おはようございます、政宗様」

「おお、小十郎か…また随分と早いな」

「政宗様こそ、いつもより少し早いのでは?」

「ha!!気のせいじゃねぇのか?」


家を出た瞬間、昔から俺の世話役の小十郎が挨拶をしに来た、コイツはいつも何時に起きてるんだろうか……

そう思いながら歩いていると、野球部の部員が俺に挨拶をする、それを適当に返しまだ眠気のせいか少し重い体を動かす


「……政宗様……もしかしてまたあの夢を?」

「小十郎……それ以上言うな」

「…………失礼しました」


俺の異変に気が付いたのか、小十郎が目を細めて言ってきた、それ以上の言葉を抑え、少しだけアレを思い出す

舞台はおそらく戦場……地獄の様な所で俺とアイツは戦い、結局アイツが負けるが、最期に意味深な事を言うとそのdreamは終わりだ

アイツは会話からして女……なぜ戦場に女がいる……なんでそんな愛しいヤツを俺は斬った……?

たかがdreamなのに、必死になって考える事が馬鹿らしく思え、俺はそれ以上考える事はしなかった


「おはようございまするゥゥ!!政宗殿!!」

「よぉ、真田幸村」

「旦那ァ…朝からテンション高い……」

「むぅ……すまぬ」


教室に入った瞬間、真田幸村に馬鹿デカイ挨拶をされた

少しの間、真田幸村や西海の鬼……長宗我部元親とも話し、teacherが来るのを待った

少し経ってからteacherが来たが、その後ろにいる奴が問題だった


アイツだ……あのdreamの女……!!


転校生なんて聞いてねぇし、teacherの野郎も紹介もしねぇ、それ以前にここにいる全員がアイツの存在を感じてない

幽霊?亡霊?妄想?様々な考えが俺の頭を支配したが、またアイツを見た瞬間、頭の中にある記憶が入り込んできた

俺は伊達政宗、奥州の領主である女……ナマエと言うヤツに恋をして……告白をした翌日……戦場で殺した……この手で……

目を見開き、自分の手を穴が空くほど見た


「…………ナマエ」


ゆっくりとアイツの名前を発した瞬間、俺は大きな音を立てながら倒れた

キーーンと、耳鳴りが鳴る中、ナマエの声が聞こえた


「政宗……私はアンタの事大嫌いだから……でも、気持ちは嬉しい……私は死ぬけど、私の事は少しでも覚えておいて……」


dreamとは違う言葉を言ったナマエはゆっくりと俺の頬を撫でた

薄く目を開けると、周りは教室ではなく、あのdreamの戦場、そして後ろにはナマエの死体……

俺はゆっくりとナマエに近付き、抱き寄せた


「……ああ、分かった……少しでも覚えておいてやる……だから安心しろ」


俺が目を瞑りながら、そう呟くと、動く筈の無いのに、ナマエは少しだけ笑った様に見えた

そして、目を開けると保健室の天井が見えた


「……ナマエ……悪かったな……」


俺はゆっくりとナマエに謝った、その後、慌てた顔の小十郎が保健室に入ってきて俺を見ると、これからの飯は自分が作る等と騒ぎ出した

それから、俺の昔の記憶は少しずつ消えていったが、ナマエの事は忘れなかった

そして、いつかナマエが生まれ変わったら、俺が真っ先に会いに行くと心に決めた

いつ会えるか分からないが、ナマエとまた会える日を俺はずっと待っている
 

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