Short(log)
□名前を呼んで
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「…ハァ…ハァ…」
病室に入ると
そこには
下をむいていて顔が見えない銀時がいた
そして、その銀時の下には血の気が無く、真っ青な顔をしているナマエ……
「ハァ……ハァ……」
息が荒くなる
少しして、銀時は何も言わずに出て行った
病室には自分とナマエだけ
ワシはゆっくりと寝ているナマエに近付いた
「………ナマエ………」
名前を呼んでも、ナマエは寝ている
椅子に座りナマエの頬に触れた
……冷たい
ナマエの頬は血が通ってない冷たさだった
「……スマンの…ナマエ…ワシは……ワシは本当に馬鹿じゃ……」
ナマエがいなくなった事を理解し、ナマエに謝る
当然返事は返って来なかった
「……スマン……スマンの……」
いくら謝っても時間は戻らない
理解している筈じゃ……
なのに、涙は止まらなかった
いつものように笑って送りたかった、いつものように他愛もない話をしたかった、いつものように……ナマエの笑顔を見たかった
しばらく病室にはワシのすすり泣く声が響いた
今思えば、最後に会った日、ワシはナマエの名前を一度も呼ばなかった
「ナマエ…ナマエ…」
今なら何度でも呼んでやるきに…だから…
「一瞬でもあの声を聞かせてくれ…ナマエ…ワシはおんしがおらんといかんのじゃ……ナマエ」
ワシの声は誰にも届かなかった
いつものように開きっぱなしの窓から桜の花びらが風に吹かれて病室に入ってきた
花びらはゆっくりと落ちてナマエの冷たくなった頬に乗った