Short(log)
□逃げ道
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「やっと見つけた……」
そう呟き、一歩私に近づく静雄
それと同じように私は一歩下がった
「逃げたらダメだろ?ナマエ」
「静雄…私……」
「逃げたら……他の奴らがお前を取ろうとする……」
「自由になりたくて……」
「さっきも……ノミ蟲と話してただろ」
「私……前の様に…付き合いたくて……」
「お前は俺の物だろうが……」
全く噛み合っていない会話の中、静雄から離れようとした時、静雄が私の腕を掴んだ
強く、まるでもう二度と離さないぐらいに
「いッ……」
「ナマエ……俺を困らせないでくれよ……」
「静雄だって……私を困らせているじゃん……」
「……ナマエはそう思ってたんだ……俺が守ろうとしている事も知らずに……」
「……守ってくれなんて頼んでない……」
「頼んでなくても…俺は心配なんだよ…そんな俺の気持ちも分からないぐらい、俺のことが嫌いになったのかよ!!」
静雄は悲しそうにそう叫ぶと、私を引っ張り寄せてきた
そして、顔を近付けてまた、光のない瞳で私を見た
「なぁ……答えろよナマエ…俺のことが嫌い?」
「そんな……訳じゃ……」
静雄は好きだ……だけど、束縛されるのが嫌なだけなんだ
それを言おうとしても恐怖で体が震え、言えない
静雄にそう答えると
「だったら、俺の愛を受け止めてよ」
と、言い静雄は私の涙を拭き取った
「俺はナマエを愛してるからナマエの逃げ道を塞ぐんだよ……」
「嫌……嫌……嫌嫌……」
「ハハハッ…ナマエ、帰ろっか」
そう言われ、抱きしめられた後、理解した元々、私には逃げ道なんて無かったのだと、そして、私はまた歪んだ愛を静雄から送られた
私はそれを涙を飲んで受け止める、逃げようとはもう思わない、だって逃げ道なんてもうないのだから