Short(log)

□逃げ道
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独占欲の強い静雄

そんな静雄が私を独り占めしようと、部屋に閉じ込めた

いわば監禁……

そんな監禁生活をもう何ヶ月も続けている……

携帯を触ろうとすれば壊され、光のない瞳で睨まれる


「俺の事……好きじゃねぇのか?」


そう言い、静雄は悲しそうな目をする

しかし、私も自由の身になりたい……少し前まではこんな事じゃなかった

お互い会える日に会って、ゆっくりとした時間を過ごして……

そんな日が帰ってくることを願い、私は逃げ出した

静雄が仕事をしている内に、なんとか扉の鍵を開けて、全力で走った

部屋にはカメラがあるが、お構いなしに逃げ出した


「ッ……ハァ……ハァ……」


何ヶ月ぶりの外に出た為か息が直ぐに切れた、外の風景は毎日窓から眺めていた為見慣れている

なんとかして、身を隠せる所を探さないと…

そう思い、私はまた走り出した

しばらく走っていると、近くの公衆電話が鳴り出した、周りには誰もいなかったので受話器を掴み


「……もしもし」


そう言うと、久しぶりに聞いた声がした


「やぁ、ナマエ」

「……臨也……」


同級生の折原臨也だった、静雄に監禁される前は何回か会っていたし、家も知っている

懐かしい声が聞こえて少しホッとした


「…逃げ出したんだねシズちゃんから……」

「……うん……」

「まぁ、ナマエの取る行動は大体見えてたし…それより、どうするの?これから」

「……とりあえず、寝る所を探すよ……」

「……シズちゃんなら、どんなに時間がかかっても探し出すと思うけどなァ……」


そう言ってきた臨也の言葉にゾッとする

今の静雄ならやりかねない……


「臨也、情報屋でしょ?教えてよ……穴場とか……」

「……んー……いいよ」


臨也は、そう答えると少しだけ真剣な声になり、穴場を教えてくれた

臨也に礼を言って、電話を切ろうとした、すると


「あとナマエ、もう一個情報」

「え?」

「シズちゃん、どうやらもうすぐ近くまで来てるみたい……今の内に逃げた方がいいよ……」

「ーーーッ…臨也…ありがと……」


臨也の聞きたくない情報を聞いて、また背筋がゾッとした

慌てて受話器を元に戻して、また走り出そうとした

走れなかったのは、今聞きたくない声が聞こえたからだ


「……ナマエ」

「ーーーッ…し…静雄……」


私の後ろにいたのは、少しだけ汗をかいて肩で息をしながら私から目を離そうとしない静雄だった
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