Short(log)

□心配症
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ギャリーとは、もう長い付き合いだ

美術館を出て、ギャリーから告白され、私達は付き合う事になった

でも、ギャリーは独占欲が強いというか…何と言うか……私がどこかに行き、帰ってくるとすぐに抱き着いてくるのだ

そのせいでよく私達は喧嘩する……

今もしている…いつものように友達とカラオケに行ったのだ、女の友達とだ、それなのにギャリーはすぐに怒ってきた


「なんでカラオケなんかに行ったのよ!!もし何かあったら女だけじゃ何もできないでしょ!?」


そんな事を言ってきて、私は前からのこともあってか、つい怒鳴ってしまった


「うるさいな!!ギャリーには関係ないでしょ!!いつもいつも縛り付けて!!私だって自由に遊びたいよ!!私はペットなの!?鎖に繋いで自由に遊べないの!?……ギャリーなんか……大っ嫌い!!」


そう叫び、私は家を飛び出したのだ

近くに公園があるので、そこのベンチに座った、それがついさっきの話だ

今は冬……雪が降ってもいいぐらいの寒さだ

ほぅ……と、白い息を吐いてさっきのことを思い出す

いくらなんでも言い過ぎたかもしれない、家を飛び出す前、ギャリーの表情は怒りよりも悲しみの方が大きかったような表情をしていた

ギャリーは本当は大好きだ……

つい、言葉の弾みで言ってしまった……大嫌いなんて……


「……最低だな……私」


そう呟いても応えは帰ってこなかった、ただ、息を吐くに連れて白い息が出るだけだ

白い息も直に消えていく、もしかしたら、この息と同じように私とギャリーの関係も消えてしまうのかもしれない


「……ギャリー……」


別れると思った瞬間、涙が溢れてきた、私が言ったのに…なんて勝手な奴なんだろう……

自分を責め、寒い中冷えきってしまった口から声が出てくる


「……ギャリー……嘘だよ……ギャリー好き……好きなのに……」


そう言いながら、両手で目を押さえる


「それ、本当?」


前の方から声がしたのはその時だった

聞きなれた声で慌てて顔を上げると、マフラーを付け、荒い息をしていたギャリーだった


「ギャ……リー」

「……ナマエ、今の言葉……本当?」


ギャリーは、一歩出ながらそう言ってきた

少しだけ恥ずかしかったが、ゆっくりと頷いた


「……ギャリー……あの……さっきはごめッ!?」


私の声が途中で途切れたのは、ギャリーが物凄い勢いで抱き着いてきたからだ


「ギャ…リー?」

「……ナマエ、ごめんなさい、アタシ…心配で……もし、ナマエの身に何かあったらって考えただけで苦しくなるの……ごめんなさい、縛り付けるつもりはなかったの……ただ、つい強い口調になっちゃって……でも、さっきのナマエの言葉を、聞いて考えを改めたわ…ごめんなさい」


ギャリーは何回も謝りながらそう言ってきた

そして、私はギャリーの背中に手を置いて


「ううん……ありがとう、心配してくれて…嬉しいよ……私もさっきは酷い事言ってごめんね…ギャリー」


そう言った、ギャリーは私の言葉を聞くと、ゆっくりと離れて、冷えきってしまった口にキスをした


「……ナマエ、心配症なアタシだけど……これからも一緒にいてくれる?」

「……もちろん……」


そう言い合い、ギャリーと一緒に家に戻った

心配症の彼は、冷えきった身体を暖めるためスープやストーブを付けてきた


「……治してね……その心配症」


私の声は、心配症の彼には届かず、雪が降ってもいいぐらいの寒さの空に消えていった
 

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