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□神楽誕記念
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十一月三日……この日はとてつもなく大切な日

親友の神楽ちゃんの誕生日……

だから、いつものように公園のベンチに座り、神楽ちゃんを待っていた



「まだかなぁ……神楽ちゃん」


十一月と言っても冷える……

私は冷えてきた手に息を吹きかけながら持ちこたえていた、地球温暖化なんて言われているんだからもう少し暖かくてもいいと思う……

寒くなるばかりの空を睨みながらずっと待つ


「……いくらなんでも遅いな……」


そう思い、時計を見ると五時……

前までは明るかったのに、今はどんどん暗くなる時間……夏の方がなんだか日にちが長くなる気がする……

……もう、帰ってしまおうか……

頭をよぎった不吉な言葉を慌てて振り払う


「……でも、本当に暗くなってきたなぁ……」


神楽ちゃんの身になにかあったんじゃないのか……そんな事さえ思ってきた

また時計を確認しようとした時


「ナマエ〜!!」

「!!神楽ちゃん!!」


神楽ちゃんの声がして、振り返ると慌てた様子の神楽ちゃんがいた

ベンチから立ち上がり、神楽ちゃんに駆け寄る

ギュッと抱きしめると、冷えきっていた身体も温まる


「ナマエ!!ごめんネ…こんなに冷えきってしまったアルな……ごめん……」

「ううん、大丈夫……神楽ちゃん…来ないのかと思った」

「銀ちゃんが、こんな時間に出るなって言ったネ……ごめん」

「謝らないでよ……」


そう言い合い、ゆっくりと離れる

そして、手に持っていた袋を神楽ちゃんに渡す


「はい、これ」

「!!ナマエ……」

「プレゼントだよ」

「ナマエ!!ありがとう!!」


神楽ちゃんは喜んでくれたみたいで、また抱き着いてきた


「開けていいよネ!?これ開けていいよネ!?」


ワクワクしながらそう言ってきてくれた神楽ちゃん、それにいいよ、と言うと

神楽ちゃんは急ぎながら袋を開けた


「これ……」

「ど……どう?」


私があげたものは……


「……手袋……」

「実はそれ……私が作ったの」

「え!?本当アルか!?」


私が作った手袋だ

うまく作れたかは定かではないが、喜んでくれたのは確かだ

神楽ちゃんは慌てて手袋を手にはめてじっと眺めている


「ナマエ……すごくいいネ……最高アル!!」

「!!本当?」

「うん!!」

「よかったァ……」


神楽ちゃんの笑顔を見るととてつもなく落ち着く

そして、暗くなってきたので帰る事になった

神楽ちゃんが手袋を振り回しながら手を振ってくれたのを見て、私はとても嬉しくなった

これからも、その明るい笑顔を絶えず続けて欲しい

心からそう思った
 

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