Short(log)
□帰る場所
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「ヤッホー、ナマエちゃん」
「……佐助……なんでアンタが私の布団の中にいるの」
「え?暖めてあげたんだよ、俺様の体温で」
「……出てけ」
戦から帰り、寝ようとしたらこのザマだ
猿飛佐助…私が属する武田軍真田忍隊の長……称号だけは最高に見えるだが、やることは最悪だ
この前は私のタンスの中に入り込み、そしてこの前は私に変化して幸村にイタズラをした
それも、戦から帰り疲れている時
コイツは一体何をしたいんだ……忍のクセに全く忍べてないぞ…迷彩着てるし……
そう思いながら外でくしゃみをしている佐助を見る
「……佐助、ふざけるのはいいが、今私は機嫌が悪いんだ、程々にしろ」
「…今回の戦で、ナマエちゃんの軍の半分が死んだから?」
「…………何が言いたい」
くしゃみをしていた佐助は、いきなり真面目な顔をしてそう言ってきた
それになるべく表情を変えずに答える
「ナマエちゃんが、俺のイタズラに怒るのは大抵戦で仲間が死んだとき、それも大人数ね」
「……佐助、いい加減にしないと殺すぞ」
「まさか、ナマエちゃん…責任でも感じてる?」
「佐助……」
「仲間が死んだのは自分のせいだと、自分が弱いから死なせたと、自分がもっと早く駆け付けていれば……とでも思っているんでしょ?」
「黙れ……」
「だけどそれは違うよ、だってアイツらはほとんど自分から死にに行ったんだ」
「ッ!!佐助ェェェ!!」
我慢できなくなり刀を抜き佐助に斬りかかった
鉄と鉄がぶつかり合う音が響く
「佐助…お前、私の事は侮辱なりなんなりしてもいい、だがな、死んでいった仲間を侮辱するのは黙って見てられん…それも…あんな言い方……佐助、お前は何がしたいんだ」
佐助のクナイを刀で押しながらそう言う、すると佐助は真面目な顔ではなく、またニコニコとして
「ナマエちゃんが背負ってる責任を降ろしてあげたいんだよ、そんなもん背負ってちゃ…また護るもんも守れなくなるぜ?」
そう言ってきたその言葉を聞き、お館様も似たような事を言っていたのを思い出した
そして、私は刀に込めた力を抜いた
「その様子じゃ…誰かに似たようなこと言われた?」
「……知るか、とにかくもう私の部屋には入ってくるなよ、忍べてない忍が……」
「え、ちょっそれひどい!!」
佐助の声を最後まで聞かずに私は襖を閉めた
疲れているいつもならすぐに寝られるのに、その日だけはなかなか眠れなかった