Short(log)
□このまま
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いよいよ、引越しの日になった
引越し会社のは先に行ってしまった、私は親の車の後部座席に乗って景色を見ていた
見送りには誰も来なかった
「なんだよチクショー、夜兎校一の美女なのに…」
そう言ったが、誰もいない事には変わりなかった
本当に虚しくなり、寝ようと思い目を瞑った
「オイ、起きろってんだよ」
「…ふぁ…ん?」
聞きなれた声がし、目を覚ますと
「うわー、オヤジだ」
「誰がオヤジだこのすっとこどっこい!!」
阿伏兎がいた
よく見ると、後ろには云業達がいた、何故か泣いてる云業もいた
「マジで引っ越すんだな」
「まぁね」
「ナマエ、またいつでも来てくれよな」
「ツインテールにしてあげるよ、云業」
「つーか、お前だけここに残れないのか?」
「なに?夜兎校一の美女を別の県に送りたくない?」
「そうじゃねぇよ」
いつものようにくだらない会話をした
そして、阿伏兎は私のボケを冷たくさばき、頭を掻きながらこう言った
「あの赤毛のすっとこどっこいの事だよ……いいのかよ」
「赤毛のア●みたいに言わないでよ…」
阿伏兎はまだ私と神威のことを気にしていたようだ
私は阿伏兎に向かって
「このままでいいんだよ」
と、言った
このままでいい、このまま友達のままで
そう言うと阿伏兎は驚いた様な顔をしたが、呆れたような顔をした
「んだよ、それなら今まで応援していた俺はなんなんだよ」
「お母さんかな」
「ケッ…すっとこどっこいが」
そう言い合っていたが車のエンジンが付いた、そして親が運転席に乗った
ついにここから離れる
「……じゃあね」
「……気ィつけろよナマエ」
「阿伏兎もダブらないようにね」
「じゃあな、ナマエ…」
「云業、泣かないでよ……気持ち悪いよ」
そう言い、阿伏兎と握手した瞬間車が動いた
云業達と阿伏兎は見えなくなるまで見ててくれた
そして、夜兎校の前を通った時、赤毛をした誰かが、私に手を振っていた
それを見て私は涙が出そうになったが、我慢して手を振り返した
「赤毛の馬鹿が…柄にもないことして来ないでよ…泣けてくるじゃないか」
私の気持ちに気付いていたのか、それとも気付いていなかったのか…分からなかったけど、私の恋は実らなかったのは確かだった
「神威…別の学校に行ってシメてくるよ…」
そう呟いた私の目からは涙が止まらなかった
学校の前を通り過ぎてから止まらなくて、それからずっと流れ続けた