Short(log)

□このまま
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「云業、ジュース」

「云業、ご飯買ってきて」

「おい云業、俺の宿題やってくれ」


どこぞの云業が転校しよう。と決心する高校、夜兎高校

転校してきた神威に一日で治められたこの高校に通う私は阿伏兎と云業とよくツルんでた

新しく神威を入れて云業をほぼ毎日パシっていた

云業が買って来てくれたご飯を食べながら神威の三つ編みを弄る…まぁ、お金はあげてるけど…


「ねぇ、神威、いつも自分で結んでるの?コレ」

「んー?そうだヨ」

「へぇー、メンドくさそうなのに」

「……余計なお世話だヨ……」


阿伏兎が大きなあくびを出した時、食べ終わったご飯に付いていた袋を口に投げ入れた


「むごっ!?」

「あ、それ捨てといて、阿伏兎おじいちゃん」


阿伏兎にそう言うと、すっとこどっこいと言いながらも捨ててくれた

そんな他愛もないことをするのが私達の日課だ

まぁ、時々他の高校に押し入ったりするけども……


「あ、俺これからの授業サボるから」

「え?神威それ本当?」

「うん」

「ケッ、すっとこどっこいがそんな事してたらお前も留年だぞ」

「阿伏兎に言われたくないネ」


そう言い、神威は教室から居なくなった


「…本当にアイツは気付いてないのかね……」

「なにが?阿伏兎」


阿伏兎がボソリと言ってきた

云業の髪の毛をツインテールにしながら質問すると


「お前の気持ちだよナマエ」

「……」


阿伏兎と言葉に云業の髪の毛を弄っている手を止める


「アイツもどこまで鈍感なのかね」

「……さぁね、少なくとも阿伏兎よりは鈍感」

「てか、ナマエ、なんで俺をツインテールに……?」

「今のタイミングで言うか云業…暇だから」


云業のせいで神威の話から云業の髪の毛の話になってしまった

阿伏兎の言う通り、私は神威が好きなのだ

あの強さ、目を開いた時の殺気…同じ夜兎高校に通いながらも一日でシメた神威に惚れ込んでしまった

肝心の赤毛馬鹿は気が付いていないようだが……


「ハァ……」


私がため息をついた瞬間、担任の星海坊主先生が入ってきた

もうそろそろ、何もない今日も終わる……そう思っていた

でも、家に帰ると、最悪な言葉が聞こえた


「ナマエ、急だけど引っ越すから荷物まとめておきなさい」


親から言われた一言

その言葉に鞄が音を立てて落ちた


「え?……なんで……?」

「お父さんが転勤になったのよ、別の県にね」

「じゃ……じゃあ!!学校は!?」

「転校よ、いいでしょ?あんな不良高校、貴女も女なんだから…」

「……ッ……」


何も言い返せなかった

私は落ちた鞄を拾い部屋にこもった

急すぎる…じゃあ云業で遊ぶ事も、阿伏兎を馬鹿にすることもできないの?神威に伝えたかった言葉は?

思い出してしまい、私は泣いてしまった

皆になんて言おう……

そんな考えをしても、何も思い浮かばなかった




あっという間に時は過ぎて、明日が引越しの日になった


「えー…お前らに残念な知らせがある」


星海坊主先生がそう言うと私をチラッと見た、それが引越しの事だと分かった私は小さく頷いた

そして、星海坊主先生がまた皆の方を見てこう言った


「ナマエが明日引っ越す」


少し震えながら星海坊主先生は言った

すると、云業達が騒ぎ出した


「本当に引っ越すのか?」

「学校は変わらないよな?」


そう言ってきた云業に私は小さく


「学校は転校だよ」


と、呟いた

その瞬間、云業達が涙を流して悲しみながら暴れだし、星海坊主先生にメコッと床にめり込まれ、朝のHRは幕を閉じた

昼にまた云業達の質問が飛んだが全てスルーした

阿伏兎は、神威の事を聞いてきたが私は腹パンをしてその場をまぬがれた

肝心の神威は、何も言ってこなかった
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