Short(log)
□バラの花束
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「……ん……」
気が付くと、目の前に無個性さんがいた
「ぎゃぁぁぁぁぁ!?」
叫びながら、無個性さんから逃げるように立ち上がり、走った
そして、二、三歩走ったあとある事にきがついた
「あ……れ……私…メアリーに薔薇の花弁千切られて……死んだはずじゃ……?」
止まり、自分の手を見た
いつもどおりの、血の通ったような手
疑問に思っていると
バシャッ
と、絵の具をぶちまえた様な音が後ろからした
「……無個性さん……?」
後ろを見ると、無個性さんの横に絵の具で書かれた文字があった
読んでみると
ー確かに貴方は死にました、でも、ゲルテナの作品として生き返ったのですー
と、敬語で書かれた
「つまり、私はゲルテナの作品になったの?……マジか……」
少しだけ絶望した
ゲルテナの作品……メアリーと、無個性さんとかと一緒になったってことか……
……メアリー……
メアリーの事を思い出し、悲しくなってきた
「無個性さん…メアリーは…イヴとギャリーは…あれからどうなったの……?」
無個性さんに聞くと、また絵の具をぶちまえた様な音がした
ーメアリーは、大丈夫です、イヴさんとギャリーさんは、無事にこの美術館から出ましたよー
「そっか……」
二人が無事出た事に、安心した
ホッとしていると、また音がした
ーですが、二人は記憶をなくして…この世界のことを忘れています…ナマエさんー作品として向こうの美術館に展示されてますが…ー
その後の文字は分かった
二人は、私の事もメアリーの事も忘れたのだ
「まぁ、仕方ないよね……」
自嘲的な笑いをして私は呟いた
でも……メアリーは大丈夫なんだよね……まだこの美術館に居るんだよね……
「無個性さん……メアリーの場所知ってる?教えてくれる……?」
無個性さんにそう言うと
ー知ってますが…いいのですか?貴方は……メアリーに……ー
「うん……知ってる……でも、メアリーを一人ぼっちにしちゃいけないよ……」
ー……分かりました、教えてあげます……ー
無個性さんは、そう文字を書くと
こっちこっちとジェスチャーをして、歩いていった
私は無個性さんについて行った