Short(log)

□狂いそうなくらい
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陽気に鼻歌を歌いながら、シャワーを浴びていた時


「ーーーーー!!ーーー!?」

「ん?」


玄関の方がやたら騒がしかった

暴れているのか……全く、銀時も子供相手にそんなにムキになるなよ……

そう思いながら、シャワーを切り、髪の毛をタオルでゴシゴシ拭きながら脱衣所を出た


「何騒いでるんだ、銀時、神楽」

「!!ナマエ!!来るんじゃねぇ!!」


出た瞬間、銀時が慌ててそう叫んできた


「あ?何言って……」

「よぉ、ナマエ」


銀時に言った時、私の声と同時に昔、よく聞いた声がした

見なくても分かっていた、声の主が誰なのか

この、声は……嘘だ……なんで、万事屋に居るんだ

そう思いながら、ゆっくりと振り返ると、そこには、高杉が血で汚れた刀を持って立っていた


「ッ!!高杉……!!その血は……」

「よぉ、久しぶりだなナマエ…変わんねぇなお前は……」

「ナマエ…コイツ…ヤバイアル……」

「あ……あぁ」


神楽が震えながら小声でそう言ってきた、その言葉に私は高杉から目を離さずに答えた


「ナマエさん…この人…銀さんに斬りかかってきたんです……」

「新八……」


いつの間にか居た新八の言葉を聞いて、目だけを銀時に向けると、確に肩から血が滲んでいた


「…ナマエ…新八達連れて逃げろ…」

「何言ってるんだ…私も高杉と戦うに決まってるだろ」


銀時が柄にもなく変な事を言ってきた、それに怒りながら答えた、そして脱衣所にたてかけてあった刀を取る

抜刀して、新八達を守る様に前に出た


「ククククッ……」

「……何がおかしい……」


高杉が急に笑い出し、イライラしながらもそう言うと


「銀時ィ、悪いがテメェも、後ろの餓鬼共も…まとめて死んでもらうぜ?」

「……そんな事、させねぇよ……」

「……高杉……なんでここに来た……わざわざお前から来るなんて……」


高杉にそう言うと、高杉はニヤッと歯を見せて笑いながら


「ナマエ…もう少し待っとけよ、ようやくだ……ようやく二人になれるぜ?」

「……どういう事だ……」

「ククククッ……言ったじゃねぇかよ……俺から逃げられると思うなよってよォ……ナマエ、テメェは銀時と一緒に居ていい奴じゃねぇよ、ましてやそんな餓鬼共……」

「ふざけるな、私の事を決めていいのは私だけだ、お前に決められたくない」


高杉がよく意味がわからない事を言ってきた


「……銀時ィ、まずはテメェだよ、いつまでもナマエの近くをウロウロウロウロ……ウザってぇんだよ」

「お前……何言ってんだよさっきから……」


銀時が驚きながらそう言うと、高杉は目を見開きながら


「俺がお前を殺すって言ってんだ」


と、言った

その瞬間、銀時の肩から腹にかけて斜めに血が吹き出てきた


「ッ!!ガッ!?」

「銀時!!!?」

「銀さん!!」

「銀ちゃん!!」


見えなかった……高杉がいつ斬ったのかも……

それは、銀時も同じ様で、動揺を隠せない様だった


「さてと……銀時ィテメェはしばらく動けねぇだろ?そのうちに、また大切なもんが失う感覚を味わってもらうぜ」

「……やめろッ!!」

「ッ!!神楽!!新八!!」


高杉の殺気が二人に向いた、私は慌てて二人を隠すようにした


「退けよ、ナマエ」

「退かない……高杉……やめろこんな事……」

「退けっつってんのが聞こえねぇのかァァァ!!」

「ッ!?」


高杉は叫びながら私の腹に刀を刺した、急所は避けたが少し深めに刀は刺さってしまった


「グッ……あっ……」

「ナマエ…あまり俺を怒らせるなよ」

「!!ナマエ!!」

「ナマエさん!!」


床に倒れながら、二人の方をみる

高杉はゆっくりと、二人に近づいて行く、それに比例するように新八と神楽は後ろに下がる


「逃げろ……テメーら……」

「二人共……早く!!……逃げてくれ……」


銀時と一緒に逃げろと言う、それでも二人は逃げようとしなかった…いや、逃げれないのか

銀時とほふく前進で高杉に近づいて行く


「悪いな、餓鬼共……俺の恨みは銀時にしかねぇが……テメェらも一緒にいただろ?死んでもらうぜ?」

「そ……それ以上近付いてみろ……僕がお前を斬る!!」

「なんでそんなに斬るアルか!?お前は一体、何がしたいネ!?」


二人が震えながらそう言った、それに高杉は笑いながら


「俺が、狂いそうなくらい、ナマエを愛してるからだよ」


と、言った、次の瞬間、銀時の時と同じ様に二人分の血が吹き出た

二人の体が音を立てて倒れた時、高杉は放心状態の私達に近付いてきた


「し……新八……?……か……神楽……?」

「おい……新八、神楽……?」


震えながら銀時とそう言った、だが、いつもなら返ってくるはずの返事が無かった


「銀時ィ……テメェを殺して、しめーだ」

「おい……やめろ……高杉!!」

「……高……杉……」


高杉はさっきの様にゆっくりと銀時に近付いた、そして、銀時の髪の毛を掴み首に刀を添えた

銀時は未だ状況が理解できていなかった、高杉の名前を言ったが、目は倒れた二人を呆然と見ている


「や……やめろ…!!高杉ィィィ!!」

「終わりだよ……これで!!」

「……ナマエ……」


銀時が私の名前を呼んだ瞬間、銀時の首から血が吹き出た

そして、倒れる前にか細い声で


「逃げろ」


と、言った


「ッ……お……おい……嘘だろ…お前が…銀時が……万事屋が…死ぬ訳……」

「ククククッ…ナマエ…良かったな……これで俺とお前は永遠に二人きりだ」

「違……違う……嫌だ…こんな……こんな事……ッ……嘘だと言ってくれよ!!」


認めたくなかった、あの三人が死ぬなんて、でも、手についている血の感触は紛れもない、本物の感触だった

私があの時、別の回答をしていたら……なにか変わっていたか?

今は、ただただ、高杉の笑い声と、少し前に言った「俺が、狂いそうなくらい、ナマエを愛してるからだよ」と言う声が耳の中に響いた


「これからは……ずっと一緒だなナマエ」
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