Short(log)
□離れていく
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朝の意気込みもあってか、私は理科準備室……土方先生が居る部屋の前に来ていた
そして、ノックをしようと手の甲を扉に付けた……
………………無理だァァァァァ!!
出来ない!!出来ないよ…もし、「うわっ、こいつキモい!!」なんて言われたら私は間違いなく……死ぬ……でも……もし……もし……OK貰ったら……死ぬ……ダメじゃん!!結局死ぬじゃん!!
「……でも、やらないと……二人に馬鹿にされる!!それ以前に…私自身もケジメを付けたい!!」
そう呟き、ノックをした
コンコン……
……あれ?居ない?
半分ホッとして、半分残念に思っていると
「入れ」
と、短く土方先生は応えた
……言うなよ!!いや…言って欲しかったけど……
矛盾している事を思いながら扉を開けた
「し……失礼しまーす」
「……珍しいじゃねぇか、テメェがここに来るなんて」
「……え……あぁ、まぁ……」
「…?どうした?なんか用か?お前、前の提出物はしっかり出してるぞ?」
「違いますよ!!なんで提出物で来なきゃいけないんですか!!」
「提出物は遅れたら届けに来るのが基本じゃねぇか!!……てか、そういえばお前……俺の忘れ物とか、提出物の未提出とか無いよな……」
「!!!?そ……それは!!」
い……言えない……土方先生の授業は頭の中にインプットされてて……忘れた事がないとか……提出物出す時、近くに寄れるから忘れたく無いとか……あ、でも遅れて出したらもっと近くに来れたかも……失敗したか……?いやいや、出さなかったら好感度が下がりそう!!
言い訳から、一気に後悔に走ったが、意識を土方先生に集中させた
「……まぁ、いいわ、んで?なんだ?」
「……あ……そのですね……」
いざ言おうとなるとやっぱり、緊張するわけで……
声を出そうにも、か細い声になる
「……?なんだよ」
「ぁ……その…………」
「……なんだか、ナマエ何時もとは違ぇな、なんか…雰囲気がいつもと違う」
そりゃ、告白しますからね!?雰囲気悪かったら嫌でしょう!!よし!!このノリでいけ!!ナマエ!!
心の声のノリと共に言葉を発した
「先生…私……先生の事、好きなんです……先生と生徒だって事は分かってます…でも、卒業しちゃうから…だから、こうして言いに来ました…先生……好きなんです……先生の事が……」
自分でも何を言ったか分からない、それぐらい緊張していた
土方先生は目を見開いたまま、私を見ていた
実際は少しの間かもしれないけど、私にとってはとてつもなく長い時間に感じた
なんだか、恥ずかしくなって、目線を下に下げてしまった
……なんか言えよ土方ァァ!!お前…私にこんなに恥ずかしい思いをさせるのか!?なんてやつだ!!
そう思っていると、土方先生は無言で持っていたペンを机に置いた
そして……
「……悪いな…お前も知ってるだろ?先生と生徒だ、悪い、俺はお前のことは生徒としか思ってねぇんだ……ナマエ」
そう、ゆっくりと土方先生は言った
……そっか……そうだよね……
「……ですよね〜……すいませんでした、土方先生、じゃ、私はこれで」
「あ……おい」
土方先生が何かを言ったが、私は聞かずに逃げる様に理科準備室を後にした
廊下を走っている時、涙が流れているのに気が付いた
「……土方先生の……バカァ……」
口はいつものように暴言を吐いていた