Short(log)

□言えなかった
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しばらく探していると

見つけた……ナマエだ


「ここにいたんだ」

「……ナマエ殿……」

「ッ……二人共……」


ナマエは静かに泣いていた

手にはあの箱……確かケイタイだっけ?


「……あ……あのね、私……」


少し言いにくそうに、ナマエは立ち上がった


「「ッ!!!?」」


違和感にすぐに気がついた

ナマエの足が消えていた


「なっ!?ナマエ殿……まさか貴殿……」


旦那がなにか分かったように、言い出した、そして


「貴殿……まさか……幽霊」

「違うよ!!!?」

「……旦那……」


呆れた……幽霊……

ナマエは光の速さで否定した

……でもなんで消えてる……?それに……なんか嫌な気分だ……

少し痛くなる心臓

病か……?


「多分だけど……帰れるかも」

「んな!?そんな急な……ナマエ殿……」

「幸村……ごめんね、こっちの遊びを教えようとしたのに……」

「そんなこと言わないでくだされ!!」


ナマエが最期の時の様な台詞を言った

そう言ってる間も消えていく

そして、最後に俺の方を見て


「ありがとうね、佐助」

「……え?」

「…いつもご飯作ってくれてたじゃない?美味かったよ……時々厳しかったけど……楽しかった」


たった三日間居たくせにそんなことを言ってくる

……なんだ……なんだよこれ……どんどん心臓が痛くなる


「……もうそろそろかも……」


そう言われた瞬間体が勝手に動いた

失いたくない

よくそんなことが思えたもんだ

散々責め立てていたじゃないか

そう思っても体は動く

そして、ナマエに抱き着いた


だが


もう、彼女は消えていた

空振りする腕


「……佐助……」

「……旦那…………俺……もう少し修行が必要みたいだね……忍失格だ」


地面に座りながらそう言った

旦那は肩に手を置き


「しかし、某は……感情がない忍は居ないと思うぞ?……人間なんだ感情がないなんて居ないんだ」

「……そう……だね」


涙が出ない

訓練されたせいで涙は出なかった

俺は……ナマエを傷付けたんだろうな

多分、神様と言う奴がそれを見て、俺に罰を与えたんだ

でも、神様と言う奴が居るのならまた会わせて欲しい

言えなかったんだ


好きだって


君に言えなかった言葉を言いたい
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