Short(log)

□これでさよなら
1ページ/1ページ



※アニキが少し酷い男になってます


『今日、急用が入った、ナマエわりぃな、先帰ってて』


元親からのメール、いつもは帰り道が一緒なので一緒に帰る私達

元親とは、幼稚園からの幼馴染みだ、昔はよく遊んだそんな元親に恋をしたのはいつだろうか……

小さい頃はよく姫若子と言って馬鹿にしていたのに、いつの間にか立派になって、それからだろうか好きになったのは


「ハァ……」


携帯を閉じて、バックを持って教室から出た

まだ、この気持ちは伝えていない、伝えたら、何かが壊れそうで、ただ、怖かった


「なんだ……雨か……」


外を見ると雨が降っていた、かなりの量だ

私は鞄の中からいつも入れている折りたたみ傘を出した

実はこの折りたたみ傘、元親が誕生日プレゼントに買ってくれた物だ、だからなおさら鞄の中にずっと入れている


「ふぅ……」


元親が教室に帰ってくるのを待っていたら、いつの間にか、学校で一人になってしまった

すこし寂しい……別に、何かが怖いとか、後ろから足音がしたら嫌だとかそういうのじゃない

音楽を聴きながら歩いていると


「……!!」


目の前に元親がいた

おかしいな……急用が入ったんじゃ?

そう思い近付きながら名前を呼んだ


「もとち…………!!」


でも、私は慌てて隠れた

元親の前に女の人がいたからだ

……誰だろう……なにか話している……

悪いとは思ったが耳を澄まして会話を聞いた


「元親、あの子はいいの?」

「あ?」

「ナマエちゃんのこと」

「ナマエがどうかしたか?」

「だって、いつも一緒に帰っているんでしょ?」

「そうだな、大丈夫だ、ナマエには急用が入ったって言ってある」

「なにー?これからずっと急用が入ったって言うの?」

「まさか、それから自然消滅させるつもりだ、悪いとは思ってるがな」


……嘘……元親……やだよ……そんな女の人と一緒にこれから帰るの?私は……まだ、伝えていない事があるのに……

気付いたら涙が出ていた、私はそれを慌てて拭き取った

そして、また、元親とは別方向に向かって歩いた

歩きながら元親にメールを送った


『幸せにね、彼女さん大切にするんだよ?これでさよならね、バイバイ』


心の中では、元親に告白したんだ、と考えた、そうしないと耐えきれなかった

私の恋は、この大雨と共に流れて行った

冷たい雨と一緒に
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ