Short(log)

□七夕
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※塾の頃の話です


「皆さん、これからこの紙に願い事を書いてください」


そう先生は言った

なんだろ?願い事か……


「6日には集めるので、それまでには、書いてくださいね」

「「「はーい」」」


とは言ったものの……

願い事か……


「ナマエ……」

「ん?」

「お前って、願い事何にする?」


そう言ってきたのは高杉だ


「考え中、高杉は?」

「俺も」


二人でため息をつく

願い事がない子供ってどうよ?


「高杉、ナマエ、一緒に遊ばないか?」

「ヅラ……アンタ、願い事はいいの?」

「ヅラじゃない、桂だ、願い事は決ってるから」

「へー」


高杉と顔を見合わせる

このヅラにも願い事はあるのだ

なんで、私にはないのか……

あ、あった


「高杉、私見つけた」

「え?」

「願い事」

「マジかよ……」

「何話してんの?」


寝惚けた声で言ってきたのは銀時だ


「銀時、願い事は決まったか?」

「俺?……甘い物たくさん食べたい」

「「…………」」


高杉とヅラは呆れた顔だった

まぁ、銀時らしいっちゃぁ、銀時らしい


「高杉、お前は?」


銀時が聞いたらいけないことを聞いた


「……」


高杉は無言で貫いた

……まだ決まってないのか


「……なんだよ、教えろよ……はぁ……ヅラ、お前は?」

「ヅラじゃない、桂だ…ヅラと言われないようにして欲しい」

「「「無理だな」」」

「なんだとお前らァァァァ!!」


ヅラの願い事は、しょうもない……

それより、アンタは遊びたいんじゃないのか……


「ナマエ、お前は?」

「え?」

「願い事」


……今度は私に……

……言いたくない!!


「……内緒」

「えー」


なんでそんなにつまらない顔してるんだ……


「ヅラ、それより遊びたいんじゃないのか?」


これ以上願い事の話だとバレそうなので、ヅラに振ることにした

すると、ヅラはハッとした顔になり


「そうだった!!」


……おいおい……

内心ツッコミながらもそれから少しだけ皆で遊んだ


(松陽先生視点)


「おや……」


銀時達が疲れ果てて寝ている所に毛布をかけているとナマエの懐から紙が出てきた

七夕なので皆さんに配った紙だ


「……」


気になったので読んでみると


「……クスッ……」


すぐに懐に戻した

そこに書いてあったのは

ナマエが一生懸命書いたであろう、少し歪な字で



"皆といっぱい話したり、遊んだり出来ますように。"


と、書いてあった

そして、七夕の日

笹に付けた皆の願い事が書かれている紙が夜風に吹かれて揺れていた

ナマエの短冊は、空に一番近い、上の方に付いていた

まるで、一番先に願い事を叶えて欲しいと言わんばかりに
 

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