Short(log)

□君との文通生活
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ドキドキしながらドアノブを回した

図書館には、人が一人いた

だが、後ろを向いていて分からなかった

ぼーっと見ていると、Mさんが振り返った、だが、顔はあるノートで隠されていた


『##NAME2##か?』


その字は、Mさんで間違いがなかった

私は、Mさんと同じように顔を隠して


『はい。』


と、書いて手を叩いた

手を叩けば分かるだろうから

すると、私のようにパンパンッと手を叩いた音が響いた

見てみると


『顔を見ていいか?』


と、書いてあった


「はい。」


私は、紙ではなく声を発した


「……」


Mさんは無言でノートを下ろした


「……え」

「……何故だ……」


Mさんは、毛利君だった

嘘だろ!?なんで?なんであの毛利君?


「……え……Mさん?」

「……##NAME2##か?」


あぁ、神様……なんてことを

まさか、あの毛利君だとは……


「……ナマエだったか?」

「う……うん」

同じクラスで、ほとんど話したことのない毛利君がMさん……

てか、会いたかったのにもう、ほとんど一緒だった同じクラスの毛利君ってどうよ!!!?


「…ナマエ…これでいいか?貴様の願いは」

「あ、ありがとう。毛利君、まさか毛利君だとは……」

「ふん……我も計算外だ……」

「じゃ……じゃあ、これでさようならだね、ありがとうね、何日か文通してくれて」

「あぁ」

「じゃあ、バイバイ、楽しかったよ」


そう言って、私は図書館を出ようとした

しかし


「待て、自分の願いだけ叶えて、我の願いは叶えぬのか?」

「え?」


何言ってんだこいつ……

そう思いながら、振り返った


「ナマエ、我の願いはな…」

「な……なに」


なんか、お金とか請求されたらどうしよう

と、内心動揺していると


「ナマエ、貴様はあの伊達の捨て駒と恋仲にあるのか?」

「はぁ?いや…有り得ないよ、政宗はただの幼馴染みだよ?……なんで?」

「そうか……ナマエよ、恋仲を作ろうとは思わぬのか?」

「……いや?」


なんとなく、めんどくさそうだったから彼氏は作らなかった

でも、なんで今?

少し、疑問に思っていると

毛利君は、少し俯いて


「我と……恋仲になってくれぬか?」


と言ってきた

……え?

そう言われ、黙ってしまう

そりゃそうだ、誰だってそんなことを言われたら無言になる

……恋仲?

つまり、付き合えと?


「も……毛利君?」

「なんぞ」

「な……なんで、私?」


毛利君は、顔もいいし、頭もいい、どちらかというとイケメンの分類だ

でも、そんなイケメンが……なんで私なんかに?


「文通を通してわかった、ナマエは…我にとっては大切な存在だと……たとえ、偽りでもいい、ただ、文通を通って知ったナマエは、誰よりも美しいと」


真っ直ぐな目で見てくる毛利君

その目には嘘なんてなかった

毛利君は、文通をしていた##NAME2##の私ではない、今、目の前にいるナマエを見てくれてると思った


「……だから、我と……」


毛利君の告白は、そこで止まった

理由は……


私が抱きついたからだ


「…なっ!?………ナマエ!!!?」

「毛利君…今の言葉は、文通相手のMさんの言葉?それとも、今目の前にいる毛利君の言葉?」

「な……なに?」


毛利君は、動揺していた

でも、私は……

もし、毛利君が、目の前にいる毛利君の言葉だと答えたら……

付き合ってもいいと思った

嘘偽りのない言葉が聞きたかった

毛利君は、私の言葉を聞いて


「……当たり前ぞ……我の言葉は、今、目の前にいる我の言葉だ」


そう言って私を優しく抱き締めた


「ナマエ……答えはまだか」

「……いいよ……毛利君……ううん
、元就…これからもよろしくね」

「……あぁ」


そう言い合い、私達はしばらく抱き合っていた

図書館の窓からは、桜の花びらがフワフワと宙を舞って入ってきた
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