Short(log)

□手遅れ
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……こんな世の中腐ってる

強くて、力のあるものが上に立ち、弱くて、力のないものが下に退かれる


「……腐ってる…」


そう呟いた

今はそんな世の中を変えようと桂さんと攘夷活動をしていた

それなのに

捕まってしまった…真選組に


「……くそ…」


あの、沖田とか言う奴…腹立つ…

エリザベスさんと一緒に逃げているのをバズーカを打たれた

あり得ないだろ…あんなに可愛いエリザベスさんを打つなんて…

それよりも……だ

これからおそらく拷問が始まるだろう…ま、そう言う奴等だ…

多分…水の中に逆さまに入れられるんだろうな…

ま、別にいいけど

仲間を守れるならいい

それに……拷問を受ける前に逃げればいいのだ

この世から


「おい、テメェの処罰が下ったぞ?」

「……フゥ〜……女に拷問は嫌なんだけどな…これも仕事の内だ」

「……出てこい」

「……」


やっぱりだ、拷問

最悪だよ…アンタ等…

全員……

幕府に媚売って…そんなに楽しいか…

渋々立ち上がった時

沖田とか言う奴と目が合った

するとソイツは


「……土方さん……」

「あ?なんだ」

「……コイツ…本当に拷問するんですかぃ?」

「……何言ってんだ…当たり前だろ…コイツは桂の仲間だ……」

「……だからって…まだ……俺と同じぐらいの女ですよ?」

「……総悟…大丈夫か?仕事に私情を持ち込むな…割り切るんだよ」

「……ッ…すいやせん」

「……ハァ…で、どうすんの?待たせてるこっちの身にもなってよ」

「……テメェ…総悟…大丈夫か?」

「……やっぱり……俺には…」

「ハァ…」


まだ決心がつかないようだ…この男……

……これはいけるかもしれないな…

我ながら今思ったことは外道だと思った

まぁ、気にしない小さい頃からそんなことはしていた


「早くしてよ…待たせてるんだから」

「……テメェ…運がいいな…本当はすぐにでも拷問部屋行きだが…総悟がこんなザマだ…一日待ってやる…その間に…総悟…けじめ付けとけよ…」

「……すいやせん…」

「なんだ〜殺らないんだ」


少し良かったかも…

口ではこんなことを言っているがそう思った


「……ナマエ……テメェ…なんで桂なんかの方についた」

「あぁ?なんだよなんで私の名前知ってんだよ」


なんだコイツ…なんで知ってる…

睨み付けながら言うと沖田とか言う奴は悲しい顔をした


「……なんだよ」


なんでそんな悲しい顔するんだ

……一体なんだ…コイツは


「やっぱり……あの時記憶をなくしやしたか…」

「……記憶?」


何を言っている……

たしかに昔私は頭を強く打った…

それと関係あるのか…それよりなんでコイツがそんなこと知っている…


「……誰だ…何者だ…」

「……俺ですよ…ナマエ……昔…よく遊びやしたよ?覚えてやせんか?」

「知らん、そんなやつ…私は昔から一人だ、死ね」

「……そうですかぃ」


怒りながら暴言を吐くと沖田とか言う奴は立ち上がった

そして


「……ナマエ……丁度良いですよ…これで……この拷問で…お前とは縁を切りやす…ま、元々俺が悪かったんですけどねぇ…俺が…あの時…」

「……大丈夫か?何を言っているんだ…おかしいぞ?」

「……そうだな…」


沖田とか言う奴は江戸っ子の口調をやめて標準語になった

なんだよ、今までふざけてただけか…


「ナマエ……さよならだ…」


そう言い出ていこうとする沖田

……さよならか……そんな言葉いらない…


「ハハハ…残念だな…私はお前らの手では殺されたくないわ…最期は…自分の手で死ぬ」

「ーーーッ!!ナマエ!?まさか!!」

「その、まさかだ」


そう言い私は隠し持っていた短刀で手首を斬った

沖田は慌てて牢屋の鍵を開けた

だが、手遅れだ

だいぶ深く抉ったからな…


「なにを…してんですか!!ナマエ」

「ふ…お前らなんかに殺……されたくないわ………真選……組……」

「……ナマエ……もう、遅いかもしれやせんが…俺らは…昔…よく遊んだんですよ…ナマエ……」

「……知るか…」


急に話し出した沖田

……なにを言ってるんだ…コイツは

本当に意味のわからない奴だ


「……ナマエ……すいやせん…俺のせいで…俺が……昔…ナマエが山に行こうとしたときに止めもしないで…しかも、あんなに…突き放して…」


急に泣き出した沖田

……山……?

昔…たしかに山で…崖から落ちて…

頭を強く打って…

その前に…ある男の子に…相談したわ〜


「……?総……君?」

「!!ナマエ!!」


そうだ…総君……

総悟の総君

ミツバさんの弟の総君

一人だった私に意地悪な顔をして話し掛けてきた総君

ま、返り討ちにしたが


「まさか……真選組、一番隊隊長様が……あの……意地悪な総君だと……」

「ナマエ……」


あぁ、思い出した

今になって

そうだ、私達は昔、仲良しだった

それが、私が山に行こうとして……記憶を無くして…総君は結局何処かに行ったし…お母さんの元を離れて江戸に来たとき…桂さんに会って…

あぁ、なんで今ごろ思い出すんだ…手遅れなのに…


「総君……ごめん…もう、手遅れだよ……」

「ナマエ……ッ…なんて馬鹿なことをしてんですかぃ…」

「ハハハ…うるせぇ死ね……それより……ヤバいんじゃ……ないの?……私と繋がりが……あったら…怪しまれる…」


敵と内通する奴は大抵粛正される

そうなると総君が危ない


「総君……殺して」

「!!!?ナマエ……?」

「どうせなら、総君に殺された方がいいわ…それに、私を殺したら…総君は怪しま……れる事……は……ない、だから……き……斬って」

「……」


総君は私を地面に降ろして

泣きながら刀を降り下ろした

そう、それでいい

意識が途切れる瞬間昔の私達が笑い合っている場面が見えた





「ごめんなさい……ナマエ……俺が…あの時…」


そんな言葉を聞きながら
 

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