30000HIT御礼企画

□小型犬、幸村
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「マスター殿!!マスター殿!!」

キャンキャンと言う感じの声が耳に響く、思わず目を開けるとソファーの上で昨晩疲れて寝落ちしてしまったのだと理解した

固まってしまった肩やら腰を回すとパキパキと気持ちいい音が響き、私は思わずアクビをした、周りを見渡すとテーブルの上は昨晩のままで今日が休日で良かったと改めて思った

ただ一つだけ、私の上に掛かってた毛布だけが昨晩とは違っていて、私は思わず微笑んでしまった、確かに勝手に私の物を動かさないでと話せるようになって伝えたが律儀にもそのままの状態にさせているとは……

でもきっと私がなにも掛けないで寝ていたのに我慢ができなかったのだろう、ぎこちなく毛布を掛ける幸村の姿を思い浮かべて私は思わずクスリと笑ってしまった


「マスター殿!!目が覚めたでござるか」

「うん、毛布ありがとう幸村」


トコトコと隣の部屋から顔を出してきた幸村に私は毛布を軽く上げてお礼を言った、すると幸村は目を見開いてパクパクと口を魚みたいに動かした

そんな様子を疑問に思っていると幸村は私の目の前に急に走ってきて土下座をし始めた、これがスライディング土下座なのかと感心しながらも戸惑ってしまう


「ゆ……幸村ァ!?」

「申し訳ございませぬゥゥ!!某、マスター殿との約束事を守れずに……勝手にマスター殿の毛布を動かしてしまった!!」


私の予想通り毛布を勝手に動かしてしまった事を謝っている幸村を見て私は声を出して笑ってしまった、そんな私をキョトンと見上げている幸村の頭に手を置く


「ありがとう、別にそれぐらいは怒らないよ幸村」


笑いながらそう言うと幸村は顔を真っ赤にして伏せてしまった、感極まっているのかそれとも恥ずかしくて伏せたのかは分からないがきっと後者だろう

幸村はなんと言うかピュアと言うかシャイで、褒めるとすぐに照れてしまうのだ、まだ顔を伏せている幸村をスルーしてソファーから降りて朝食の支度をする

すると後ろからパタパタと慌てたような足音が聞こえ幸村が付いて来た、なにか手伝える事はないかと聞かれる前に私は幸村に茶碗を出すように伝えた

小型犬特有の小さい尻尾をパタパタと揺らしながら自分と私の茶碗を出す幸村を見て、エプロンを着けてフライパンに火をつけた

幸村の茶色い犬耳と炎のように真っ赤な首輪は熱血系の彼にはピッタリだと思いながら私は卵を割った、ジュゥウと卵が焼けるいい音を聞いて一日が始まるのだと悟った

幸村は卵が焼けるのをワクワクとした表情でじっと見てくるのでなんだか少し緊張してしまったがこれがいつもの日常なので気にしないでおく


「幸村、あんまり見ないでよ失敗したら恥ずかしい」

「心配せずともマスター殿の作る料理は美味しいでござる!!」

「嬉しい事言ってくれるね……っと」


幸村にあまり見ないでと言ったが幸村は気にせずに視線は卵に向いたまま私に返事をした、そんな幸村に思わず笑いながら卵をひっくり返す

目立ったような焦げ等はないので上手く焼けたようだ、そんな卵焼きを見て幸村は歓声を上げながら嬉しそうに手を叩いた

幸村から皿を受け取り両面が綺麗に焼けているのを確認して皿に盛る、皿に盛ってからまた幸村に渡し机に並べてもらった


「マスター殿、早く朝食を食べましょうぞ!!」

「はいはい、幸村は元気でいいね」


早く食べようと急かす幸村の声を聞きながらエプロンを外した、火を消したのを確認してから幸村が待つリビングに向かった

どうやら幸村がお米をよそってくれたようでホカホカとしている美味しそうなお米が茶碗に入っていた、幸村に礼を言ってから手を合わせた

美味しそうに食べ始める幸村を見ながら今日はどこに散歩に行こうかと考えながら私も朝食を食べ始めた
 

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