30000HIT御礼企画

□中型犬、ポルナレフ
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私はついこの間飼い犬が原因で彼氏と別れた、とは言ってもあまりに非現実的で誰にも信じてもらえなさそうなので友達などには言わない

非現実的な事がなぜ私の周りで起きたのかは分からないが、多分最近買った飼い犬の首輪のせいだろう

簡単に説明すると、私の飼い犬のポルナレフに新しい首輪をあげてから少し買い物に行った、その間は彼氏が留守番してくれると言ったので言葉に甘えて彼氏一人置いて家を出た、そして帰ってきたら彼氏は居なく代わりに上半身裸の個性的な髪型で犬耳と尻尾をつけた変態がいた

何を言ってるのか分からないと思うが私も何が起きたのか分らなかった頭がどうにかなりそうだった、結局何回か警察を呼ぼうと思ったがその謎の変態が私の愛犬だと言う事が分かった

しかし、結局彼氏とも別れてしまったので私に残されたのは人間になれる愛犬だけだった


「じゃあポルナレフ、私もう仕事行くから」

「おう、いってらっしゃい」


カバンを肩にかけて玄関前でそう言うと私の愛犬ポルナレフはヒラヒラと手を振っていた、ついでにポルナレフの尻尾も揺れていたのは言うまでもないだろう

憂鬱な仕事に行くためにモチベーションを上げるため私はイヤフォンを耳につけた、異常に混雑した電車に乗った

長い道のりを進み職場に着けば、冷房が効いた部屋が待っている代わりにデスクワークが待っていた


「ふぅ……」


ある程度のノルマを終えてグッと伸びをするとパキパキと言う心地よい音と共に固まっていた関節が緩んだ気がした

フッと力を抜いて飲み物を飲みながら時間を見るとそろそろ終わりの時間だ、結構長い間集中していたようだ

定時のお知らせが聞こえた瞬間、同僚が私の肩に手を置いた


「終わったね、帰ろ」

「うん」


同僚の言葉に賛成して、私達は職場を離れた、途中夕ご飯を誘われたが今日はポルナレフに遅くなるとは言っていないので断っておいた

同僚とは近くに住んでいるので帰りはいつも私のマンションで別れる、今日も同じようにマンションで別れる予定だった


「ねぇあの人誰?アンタの部屋の前に立ってるけど……知り合い?」

「え……?」


同僚の言葉に私は思わず固まったがその人物が視界に入った時、私は恐怖よりも驚きの方が勝った

ポルナレフだ、ポルナレフが私の部屋の前に立っていた、もちろん同僚にも誰にもポルナレフの事を言っていないのでこのままだと厄介な事になる


「あ……ああ!!あの人私の友達!!」

「え……そ…そう?」

「じゃあ私はこれで!!気を付けてね!!」

「う……うん……?」


同僚には悪いと思いながらもいつもの別れの挨拶を簡単に済ませて私は走りながらポルナレフの元まで向かった


「マスター!!遅かったから心配したぜ!!」

「何を考えてるのポルナレフ!!はやく中入って!!」

「え?おい、マスター?」


ポルナレフの手を掴みマンションの中へ逃げるように駆け込む、唖然としているポルナレフを他所に私は玄関に鍵をかけた

急に動いたので息が上がってしまったが、再びポルナレフの手を掴みリビングへ向かう

倒れ込むようにソファーに座れば、まだ立っているポルナレフが私を見下ろすようにこちらを見ていた


「……マスター」

「ふぅ……なに?」

「悪い……」

「……」


今までに聞いた事ないような声色でポルナレフはそう呟いた、私に聞こえるか聞こえないか位の声量だ

それだけでもポルナレフの今の気持ちが分かった、きっと今まで私があれだけ焦っていた時はなかったし、口調が強かったのかもしれない、だからポルナレフは今きっと悲しんでしまっているに違いない


「……ポルナレフ、私の方こそごめん」

「……」


ポルナレフに謝ったが何も言おうとしていない、だけどポルナレフは黙ったまま私の隣に座り肩に頭を置いた

一瞬驚いてしまったがポルナレフがこう言う行動をするのは大抵甘えたい時だけなので、私は完全にさっきの事を怪しんでいる同僚になんて言い訳をしようか考えながらポルナレフの頭を撫でた


「マスター、これからは遅くなる時電話してくれよな……今日、近くで物騒な事が起きてたしマスターがいつもより遅くて心配した……」


ポルナレフの声は若干涙声だったが確かに私を心配していて、私はあまり遅くに帰った気はしないが心配をかけてしまった事に対して謝った

するとポルナレフの尻尾が一瞬パタリと左右に動いてソファーに当たったような気がした、どうやら少しは許してくれるそうだ
 

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