30000HIT御礼企画

□小型犬、スピードワゴン
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最近のニュースというものは、やれあの芸能人が結婚だ、やれあの有名人が離婚だ、などとやたら人の色恋に首を突っ込む話が多い

人はいずれ結婚をして子供を産み老いて死ぬ……それが自然の節理と言うもの、なのになぜそれで騒ぎ立てるのか……そりゃあ勿論離婚などは驚くが、本人達はあまり目立ちたくないだろうに……

そう思っている間もテレビをつけているため、私が思うくだらないニュースは淡々と流れていく

冷めた目でそれを眺める私とは逆に、一人だけオーバーな程驚いている人物がいた


「な……なんだと!!あの二人が離婚んん!?絶っ対お似合いだってのに!!なんで離婚なんてしちまってんだよぉ!!」


耳が痛くなるぐらい大きな声で叫ぶソイツ、幸い私の家は一軒家で周りには畑ぐらいしかない田舎なので近所迷惑にはならない、だがこの騒音に私が迷惑している

黙れと言う意味も込めて傍にあったリモコンでテレビを切った、すると驚いたように肩をビクつかせ、オロオロとし始めるソイツ


「マスター!!マスター!!テレビが勝手に……」

「落ち着け、私が切ったの」

「ええええええ!?なんでだよぉ!!」

「お前がうるさいからでしょう!?スピードワゴンッ!!」


私が切ったと教えるとまたオーバーな程大きな声を上げるソイツ……いや、スピードワゴン

このスピードワゴンは私の飼い犬で、以前新しく新調した首輪をつけたら人間になったのだ

近所のおばさんにそんな事を言ったらきっと変な目で見られるので勿論言わない、だがこのスピードワゴンの存在は確かにあって、やかましい点を除けばいい子なのだ

もう一回テレビをつけてくれと頼んでくるスピードワゴンに私は首輪を外し、少し黙らせた後、改めてテレビをつける

犬になったから今度からは少しの騒音で済む……そう思ってもキャンキャンと騒ぐのには変わりない

私は思わず溜め息をつきながら、リモコンをスピードワゴンの傍に置いて、リビングを後にした

ベッドに倒れ込むように寝そべると、ギシリとバネが軋みだした、もう寝てしまおうと思いゆっくりと目を瞑るとジワジワと眠気が確かな物になって来る、易々と意識を手放し私は寝る事にした

少しだけ息苦しくなりゆっくりと目を開けると、もう夜中のようで部屋は真っ暗だった、だがまだ少し息苦しいので手を伸ばしオレンジ色のライトを点ける

私の目の前には少し薄い金髪が見え、それがすぐにスピードワゴンのものだと言うのが分かった、どうやら自分で首輪を付けたようだ

明らかに近付き過ぎだと思い、ゆっくりと肩を押すと瞼を少し震わせたスピードワゴン、だが起きる様子も距離が離れる様子もない

私は小さく溜め息をついてスピードワゴンの首に付いている首輪を外そうと手を伸ばした


「…………」


だが私はその動きを止めて、少し伸ばした手をスピードワゴンの頭に移動させゆっくりと頭を撫でた


「本当、隠れた所で甘えてくるんだから、普段もこう静かならいいのに……」


そう呟き、私はゆっくりとスピードワゴンとの距離を縮めまた目を瞑った

偶にはこの愛犬と一緒にテレビを見るのも悪くないのかもしれないと、柄にもない事を思いながら
 

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