30000HIT御礼企画

□大型犬、ジョナサン
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長い長い仕事を終えて、家の玄関を開ける、するとフワリといい匂いがした、それと同時に少し焦げた匂いもした

私に同居人なんて者は居なく、動揺していると、パタパタと走る音が聞こえた


「マスター!!お帰り!!」


私の名前を呼びながら、犬のような耳と尻尾、そして首輪のような物を付けた爽やかな青年が出てきた

手には少し似合わないフライパンが握られている、どうやらこの匂いはそれが原因らしい

それよりもだ……こんな爽やかな青年は私は知らない、現に、以前間違えて送られてきたサイズの大き過ぎるジャージを着ている時点で怪しい

あのジャージは私自身どこに仕舞ったか忘れてしまっているのに何故この青年は着ているのか

そんな考えをする私とは対照的に青年はニコニコとしながら、すぐに夜ご飯の準備をすると言って台所に戻ってしまった


「……もしかして、泥棒……?」


こんな御時世だ、爽やかな青年が凶悪な泥棒というパターンもあると思う

そう思った私は、愛犬、ジョナサンを呼ぶため、小さく口笛を吹いた

いつもならこれで飛んでくる筈だが、一向に姿を見せない

もしかして、あの泥棒になにかされてしまったのかと最悪のケースを考えた時


「呼んだかい?マスター」


と、台所からヒョッコリと顔を出してきた泥棒、そんな泥棒を見て私は思わず肩をビクつかせてしまう


「マスター……大丈夫?疲れているのかい?」

「あ……あの…………」

「ん?」


心配そうに眉毛を下げながら私の肩を包み込むように掴んで首を傾げる泥棒、そんな泥棒を見て、私はテンパってしまったのか


「貴方は誰ですか……?」


と、相手を刺激するような事をサラリと言ってしまった

言ってしまった事に後悔して、アワアワと焦る私の前には、何かを考えているような雰囲気の泥棒がいる


「うーん……実は僕も原因はわからないけど……マスター、昨日僕……ジョナサンに首輪を新しく買ってくれたろう?」

「えっ……なんでそれを……」

「それを付けたら、昼頃かな?人間になっていたんだ」

「…………え……えぇ……」


真っ直ぐな目をしていきなり嘘のような事を言い出す泥棒、だが、なんとなく確かにジョナサンに似ている気がする

戸惑っている私を見て、ジョナサンは頭を掻きながら


「信じられないよね……でも、本当の事なんだ」


と、申し訳なさそうに言った、そんな泥棒の言葉に私は


「首輪を付けて人間になったなら、首輪を外したら犬のジョナサンになるんですか?」


と、一番手っ取り早い方法を言った、すると泥棒はニコリと笑って


「マスターならそう言うと思って、一回試したんだ、いいよ、取ってみて」


と、言いながら泥棒は手を大きく横に開いた

無防備な泥棒の首に私は手を伸ばし、ゆっくりと首輪を外した

すると、私が瞬きをした瞬間、目の前にはもう泥棒はいなく、逆に愛犬のジョナサンがブカブカの服の中に入りながら私に尻尾を振っていた


「……本当だったんだ……」


思わずそう呟いた私に、返事をするようにジョナサンはワンッと一声鳴いた

それからもう一度首輪を付け、人間にしたジョナサンに謝ってから、頑張って作ったと言う夜ご飯を食べる事にした

所々焦げていたけれど、なかなか美味しく、疲れた私の身体には丁度よかった


「ジョナサン、また服買わないとね」

「うん、ありがとうマスター、実はちょっと小さいんだよね、これ」

「大型犬だもんね……人間になったら大きくなるよね」

「ごめんね……」

「ううん、大丈夫」


人間になってから、ジョナサンがどんな事を言っているのか分かって助かるが、大きな体に犬の耳と尻尾は少し似合わないと思ってしまう

それでも我が愛犬、愛らしい行動をして私を癒してくれるのは変わらない
 

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