30000HIT御礼企画

□中型犬、佐助
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「マスターちゃん、ほら、早く起きて」

「……うう」


眠っていると優しい声色が聞こえる、だが、その口調は明らかに怒っている

私は唸りながらゆっくりと目を開ける、すると少し目をつり上げた愛犬の顔が見えた


「佐助……今日は何もないから寝かせてよ……」


愛犬の顔を見たまま、そう言う、すると私の愛犬は


「駄目!!生活リズムは大切なんだよ!?ほら、早く起きて」


と、私から布団を取り上げながらそう言った

全く……この愛犬は……この間、急に人になったと思ったらこんなお母さんみたいな事を言ってきて……

私の愛犬、佐助は中型犬でいつも聞き分けがよく、主人思いのいい子だった

そんな佐助は以前私が買った迷彩柄の首輪をつけて人間になったのだ、当時はそりゃあ驚いた、朝起きると愛犬の代わりに私の隣ででスヤスヤと気持ちよく寝る知らない男がいるのだから

様々な疑いをした私に佐助はヘラヘラ笑いながら自分は犬だと言った、当然信じられない私に平然と


「昨晩、またニンジン残したでしょ?酷いよねぇマスターちゃんは、俺のご飯にも嫌いな成分があるのに我慢して食べてる、それなのに自分は食べないんだから……本当に俺様の飼い主なのかなぁ?」


と、ペラペラと私の嫌いなニンジンの事を話し出したのだ

しかも、それでも信じられない私に、昔、失恋した時の愚痴の事を言い当てたのだ

そこまで来ると信じるしかない、そう言う事で私と愛犬佐助の生活はまた始まったのだ


「ほら、マスターちゃん、今回のご飯はニンジンの味が出ないようにしたから……はい食べてみて」

「んー……」


まだ完全に目が覚めていない私を引きずるようにリビングに運び、自信作だと言いながら私に料理をスプーンで掬って向けた

それを唸りながら口に含む、するとなかなか私好みの味が口一杯に広がった


「美味い?」

「んー……うまい」

「それはよかった」


味の感想を聞いてくる佐助に今度はしっかりと箸を持ちながら答えると、佐助はニンマリと笑った

人間になってもやはり私の愛犬だ、笑顔が凄いかわいい

そう思いながら私は愛犬の頭をわしゃわしゃと撫でるのだ
 

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