30000HIT御礼企画

□中型犬、銀時
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捨て犬を見付けてしまった、家のマンションはペット禁止だったが見付けてしまったものは仕方ない

人々が見て見ぬふりをする中、私はゆっくりとダンボールの中にいる白い毛並みの犬を抱き寄せる

大方、大きくなってしまったから捨てたのだろう、本当に身勝手な人間だ


「……よしよし捨てられちゃってかわいそうに、お前は今日からこのマスターさんの子になるんだぞー……まずは病院か」


中型の犬に軽く自己紹介をしてから、丁度目に止まった動物病院に連れて行く

ついでに少しの間預かってくれないかと聞いてみたが、今はどの部屋も満員らしく預かるのは無理らしい

病気も無く、少し栄養剤を打って貰い、私はまた犬を抱っこしたまま街を歩く

夕方だが、ペットショップは開いているだろうと思い、犬を車に乗せて駐車場を出た

ペットショップで、簡単な物を買ってそのまま大家さんに見付からないように部屋に入る


「……ほら、首輪をつけた方がイカすよ」


ふてぶてしい表情のその犬にそう言って首輪をつける、海の波をイメージしたのか、白い生地に青色の波模様がプリントされている首輪は白い毛並みのこの犬には似合う

里親を探すつもりだが、いっそのこと私が引越しした方が良さそうだ、丁度転勤が決まりそうだしなかなかいいタイミングだ

そう思いながら、犬にご飯とお水をあげて適当に元彼が置いて行ったルームウェアを犬に被せる

タオルを使うのはなかなか気が引けたのでルームウェアを使ってしまったが気に入っているようなので良しとする


「お風呂でも入ってこよう……」


ルームウェアに潜ったり、引き摺ったりする犬を少し見たあと、私は疲れた身体を癒すため風呂に入ることにした

さっぱりして出た時、さっきまではしゃいでいた犬が見当たらない、もしかして迷子にでもなってしまったのかと周りをキョロキョロ見渡した時


「あ、さっきは助けてくれてありがとうな」


と、言いながら目の前を元彼のルームウェアを着こなした銀髪に近い白髪の天パ男が通った


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!不審者ァァァ!!」

「うおああああああ!?」


不審者だと叫ぶと、向こうも私の声に驚き叫んだ、近所迷惑だと思うが叫ぶしか手はない

しかもこの不審者、犬っぽい耳と尻尾があるし、首輪もついている、一体どんなプレイをしている変態なのだろう

静かに手に持っていたタオルをヌンチャクのように構えた時、変態不審者は手を前に出した


「待て待て待て!!俺はさっきお前に助けられた犬だよ!!」

「やかましいド変態、さっさと還るべき所に還れ」

「怖い事言うな!!」


ますます訳が無いことを言い出す変態不審者に私の警戒度はアップし出す


「お前ッ……自分でマスターさんの子になるんだぞーとか言っておいてまた捨てるのか!?」

「……は?」

「……マスター、俺を拾ってくれたのはだだの同情か?」

「何言ってんの……私が拾ったのは犬……」

「だから、その犬が俺だ、お前が買ってきた首輪をつけたらこうなっちまったんだよ」

「何を馬鹿な……」


ペラペラと私が犬を拾った時の言葉、首輪の事を話す変態不審者、だがその言葉には嘘をついているような雰囲気はなかった

警戒しながらも、変態不審者の首輪を見ると、確かに私が買った波をイメージした首輪だ、それについさっきまでルームウェアの傍にいたのはあの犬だ……


「……本当にあの犬?」

「おう、マスターが拾った犬」

「…………信じ難いけど、信じるしかなさそう……」

「……ありがとうな、信じてくれて」


少し俯きながら信じると言うと、犬は少し尻尾を振りながらニコリと笑った


「……このマンションはペット禁止だし、丁度いいよ」

「おう、これからよろしくな」

「……名前は銀時だからね」

「いい名前だな、どんどん呼んでもいいからなマスター」


決めた名前を伝えると、銀時はまたパタパタと尻尾を振った

とりあえず、これで大家さんに怒られる事はないだろうと、嬉しそうにする銀時の姿を見てそう思った
 

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