10000HIT御礼企画
□20、脛
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20、脛
長かった仕事がようやく終わり、早足で家に向かう
いつもの隠し場所から鍵を取り出し、玄関を開けると、廊下の奥からいつもの顔が見えた
「今日はいつもより早いんだな」
「ただいま、小十郎」
「ああ、おかえり」
いつもの堅苦しい顔を少し崩して微笑んでくれるのは、私の恋人の片倉小十郎だ
小十郎は私の為にこの金曜日はいつも先に帰ってきてくれて、夜ご飯まで作ってくれる
小十郎も疲れているのに、私には勿体無いぐらい本当に優しい人だ
「今日の夜ご飯は?」
「ああ、野菜を沢山使ったカレーだ」
「……ネギとかは入ってないよね?」
「残念ながらな」
「カレーにネギは入れないよ」
小十郎のカレーネギ発言に静かにツッコミを入れて、着ていた服を脱ぐ
私が着替えている間、小十郎は夜ご飯の準備をしている、どうやらまだ完成していないようで、グツグツとカレーを煮る音がする
ハンガーに服を掛けて、ゆっくりとソファーに横になる、今日は一段と疲れたかもしれない
そう思いながらも、頭の片隅では小十郎の手伝いをしなくてはと言う考えが浮上する
だが、眠気には敵わず、私はゆっくりと意識を落とした
(小十郎視点)
カレーの支度も終わり、ナマエを呼んだが返事がなく、何かあったのかと慌ててリビングに向かうと、ソファーの上で眠るナマエが目に入った
どうやら今日は疲れていたようだ、恐らく今寝たばかりだろうから、後少ししたら起こしてやろうと思いながらナマエの頭を撫でる
「……ゆっくりと疲れを取れよ」
そう呟きながら、冷えないようにタオルケットをナマエに掛ける
ふと、ナマエの足がソファーからはみ出しているのに気が付き、持ち上げ、ソファーの上に置こうとした時
「…………」
何故か自然にゆっくりとナマエの脛にキスを落としてしまった
ハッとして、俺は一体何をやっているんだと改めて思い、顔に熱が集まるのを感じながらリビングを出た
ナマエが寝ていて本当に良かったと思う
脛……服従(他人の命令や意志にそのまま従うこと)