10000HIT御礼企画
□14、手の甲
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14、手の甲
私の知っている、吉良吉影と言う人間は、少なくとも女に優しい人ではない筈だ
強いて言うなら女の敵、好みの手があればそこから下の身体は要らないと言う奴だ
「大丈夫かナマエ、辛かったら言ってくれ」
「……あ……はい」
そんな、最低とも言える吉良吉影が何故こんなにも私に優しくしているのか、全く意味が分からない
どうしてこうなったのか……事の発端を簡単に話そうと思う
元々、私と吉良は幼馴染みで、小、中、高、共に同じ学校だった
今思えば吉良と離れたくて、進学校を変えたのに一緒になってしまったのかは謎だ
話を戻そう、私が吉良の特殊な性癖に気付いたのは、中学生の時だ、昔からよく人の手を見ているので、冗談半分で私の手を見せてみた所、吉良は私の手をまるで貴重品でも扱うように触り出したのだ
あの日程後悔した日はない、それから吉良は私に必要以上に構うようになった
「ナマエ、なにか胃に入れないと……」
「……じゃあリンゴ」
「リンゴか……少し待っててくれ」
吉良の声で昔の事から今の事に意識を向けた
吉良は私になにか食べられる物はないか聞いてきた、本当にコイツはどうしたのか頭でも打ったのか?
そう思いながら、今食べられそうな物を吉良に言うと、吉良は一言言って部屋から出て行った
ちなみに今の状況は、私が風邪を引いてしまったのだが、どこで嗅ぎ付けたのか吉良は私の家に不法侵入して看病しだしたのだ
「……本当に意味分かんない」
「?何か言ったか?」
「別に」
ご丁寧に皮を全部剥き、爪楊枝で刺して皿に盛ったリンゴを受け取りながら思わず呟いてしまった
良く噛んで食べ終え、吉良から薬を受け取り、飲み込む
それを見て吉良は私を無理矢理布団に入れて、空になった皿を持って部屋から出て行った
私は薬の副作用からか、眠気が襲って来たので、少し寝る事にした
寝ている間、吉良が何をするのか監視はできないがTPOはわきまえている筈だ
そう思いながら目を閉じていると、部屋に戻ってきた吉良は、私の傍に座ると
「寝たのか?……ナマエ?」
と、私の名前を呼んできたが、もう話す気力もないので無視をする
すると、吉良は何を思ったのか、私の被っている布団を少し剥いで、私の手を掴み、私の手の甲にキスをした
「ナマエ……」
熱っぽい声で私を呼んだ吉良に、私はグーパンチで答える事にした
手の甲……敬愛(尊敬して、親しみの気持ちをもつこと)