10000HIT御礼企画

□9、首筋
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9、首筋


コツ……コツ……と遅い足音が響く、ここはさっきとは全く違う美術館だ

なぜ私はこんな所に迷ってしまったのか、ゲルテナ美術館に来て、大きな絵を見た後こんな所にいた

出口を探すため、歩いているが全く出口が分からない


「はぁ……もう嫌だ」


そう呟きながら歩いていると、遠くに金髪の女の子が見えた

また、私のバラを狙っているのかと構えてしまうが、どうやら違う様だ

女の子は私の方を見ると、表情を明るくさせてこちらに来た


「はじめまして!!私はメアリー!!お姉さんも出口を探しているの?」

「えっ?……う……うん、そうだよ……私はナマエ」


いきなりの自己紹介に驚いてしまったが、自己紹介をされたからには返さないと失礼だ

戸惑いながらも返すと、女の子はニッコリと可愛らしい笑みを向けてきた

なんだか悪い子には見えない……なんとなく黄色が似合う子だな……そんな事を思っていると女の子は私に手を伸ばした


「ナマエ!!握手しよ!!」

「うん?いいよ」


何故いきなり握手なのかは分からなかったが、私はメアリーちゃんの差し出された手を握った

その手は少し冷たくて思わずビックリしてしまったが、メアリーちゃんは気にしていないようだ

ニコニコと笑うメアリーちゃんを見ているとこちらも笑みが浮かんでしまう


「ナマエ、出口を探す?」

「うん……ここから出たいしね」

「そっかぁ……」


メアリーちゃんと歩きながら話していると、急にここから出たいか聞いてきた、少し疑問に思いながらもそう返すとメアリーちゃんは何故か残念そうな顔をした

流石に少し怪しく思えて、メアリーちゃんには悪いが、一旦離れようとした時不気味な雰囲気をしたゲルテナの作品がこちらに来た

何がなんだか分からなかったが、とにかく逃げないといけない事は直感で理解できた

メアリーちゃんの手を掴んで逃げようと走りだそうとした時、メアリーちゃんは女の子とは思えない力で逆に私を引っ張った


「……え?」

「どこに行くの?ナマエ」


驚く私を余所にメアリーちゃんは少し微笑みながらそう言ってきた

そして、ついにゲルテナの作品は私達に近寄ってきた、そこで私は意識を失った


(メアリー視点)


心が壊れ、虚ろな目をしたナマエの首に腕を回し、私は笑う

この世界からナマエを見続けていた、そんなナマエがようやく私の物になったのだ


「ナマエ、これからはずっーーーっと一緒だよ」


そう言って、私は動かないナマエの首筋にキスを落とした




首筋……執着(ある物事に心が深くとらわれて離れないこと)
 

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