10000HIT御礼企画

□8、喉
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8、喉


「……神威」

「ん?どうしたのナマエ?」

「……いや、アンタがどうしたの……」


そんな会話をしている私達の状況はある意味、教育的に良くない

なぜ疲れて帰ってきて神威に押し倒されなくてはならないんだ……

疲れからの苛立ちか、顔の横にある神威の腕を掴み、力を入れる


「ッ……痛ッ……」

「痛いなら離せ、この戦闘狂」


ギシギシと軋む様な鈍い音がする中、顔を歪めた神威に私はそう言いながら睨み付ける

だが、痛いと言う割には神威は全く退く気配がない、そんな神威に腹が立ち、もっと強く掴む


「痛いなァ…ッ……ナマエ、そんなに俺に退いて欲しくない?」

「その逆だアホ、どんなアホでも痛め付ければ退くでしょ」

「相変わらずぶっ飛んだ発想するなァナマエ……」

「相変わらず憎たらしい顔だな、神威」


強く掴んでいるが、神威は退く事はおろか、逆に近付いてきた

丁度鼻と鼻がぶつかる程近付いた時、神威は急に進路を変えて、私の喉の方に向かって行った

一体何をするのかと、若干握る力を強めていると、喉に鈍痛が走った

神威は何を思ったのか、私の喉に噛み付いたのだ、一体何をしているんだコイツは


「ッ……神威……何してんの」

「んー……クセになる食感だネ」

「何言ってんだ」


神威の意味不明な感想を聞きながら、私は意地でも神威を退かそうと暴れた

すると観念したのか、神威は大きく溜め息を付きながら私の上から退いた

そして、私も起きようと上半身を起こした瞬間、ヒリヒリとする喉に柔らかい感触がした

唖然としているとイタズラが成功した子供のような笑いをした神威は


「喉にキスする意味、阿伏兎にでも教えてもらってネ、俺は知ってるけど今言うのは面倒だから」


と、嫌な予感しかしない事を言って、自分の部屋に戻って行った

後日、喉の噛み跡が消えた時、阿伏兎に聞くと、少し照れた様に頭を掻きながら教えてくれた

その直後、神威を本気で殺そうとしたが阿伏兎や他の皆に止められ、未遂に終わった




喉……欲求(必要なもの、欠乏しているものを強くほしがり、求めること、また、その気持ち)
 

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