10000HIT御礼企画

□13、手首
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13、手首


なんとなく寝苦しくって目が覚めた、完全に電気が消えた部屋をボーッとする頭で確認すると、ゴソゴソと私の布団が動いている

一瞬、パニックになりかけた瞬間、暗闇の中で一人の男の顔が布団から出てきた


「ナマエ、起きてたのか」


当然のように人の布団の中に潜り込み、覆い被さるようにして話しかけてくる男

見下ろされているため、いつものバンダナが顔に当たる


「シーザー……なにしてんの」


自分でも驚く程の不機嫌な声が出る、それを聞いて男……シーザーは少し肩をすくめるようにして


「見て分からないのか?一緒に寝ようと思って」


と、当然のように言ってきた、その言葉に思わず溜め息が出てしまう

巷ではイタリア人らしい優しい男性と呼ばれているシーザーは何故か私にはこうだ

変態と言ってもいいだろう、現にこうして人の布団の中に潜り込んでいるのだから


「シーザー退いて、寝るなら一人で寝て」

「酷いな……なにもそう、つまらなそうに言わなくてもいいだろう?」

「一緒に寝ようと思っているなら、スージーQと寝ればいいじゃん」

「女性には優しいんだよ、俺は」

「それは何か、私は女性じゃないと?」

「それは誤解だナマエ、ナマエは俺だけの女だよ」

「誰がいつアンタの物になった」

「出会ってすぐ」

「……これがあのシーザー・A・ツェペリか……」


そう言い合っているうちにも、シーザーは私の横に寝そべる、そして当然のように私の腰に手を回す

シーザーの方を向かないように体を動かそうとすると、シーザーは逆に密着してくる


「……シーザー」

「ナマエ、もう諦めろ」

「リサリサ先生呼ぶよ」

「今呼んだら、確実にリサリサ先生は俺達が付き合っていると勘違いするぞ」

「それでもいい、とにかく退いて」

「……ママミーヤ……ナマエがこんなにも積極的だなんて」

「何を勘違いしてるの!?」


そんな言い合いをして、ようやく私はシーザーから解放された

寝ていた体を起こして、ソファーに移動すると当然のようにシーザーも着いてくる


「なんでこっちに来るのさ、寝たいなら私のベッド使いなよ」

「俺はナマエと寝たいんだよ」

「私は一人で寝たいの、シーザーがベッドで寝るなら私はソファーで寝る」

「それはダメだ!!ナマエの大切な体が痛んでしまう!!」

「大切だと思ってるなら出てけよ」


シーザーの言葉に思わず頭を抱えてしまう、本当にコイツは何がしたいのだろう、私以外の女性には優しいのに私だけこうだ

なにか気に食わないのか?だが、シーザーと出会った時は特に無礼な振る舞いはしてない気がする……

うーん……と唸りながら原因を考えていると、ふと、シーザーが静かな事に気が付いた

不思議に思い、横を向くとシーザーはじっと私の方を見ていた


「シーザー?」


思わず名前を呼ぶと、シーザーはさっきの緩んだ顔とは打って変わって、キリッとした表情で私を見てきた


「ナマエ、さっきは何を考えていたんだい?」

「え?……何って……シーザーはなんでこんなにも私と他の女性に対して態度が違うのかなって」


シーザーの言葉にそう返すと、シーザーは少し目を見開いて、すぐ俯いた

一体なんなのか気になっていると、シーザーは自然な動きで私の手を掴み


「俺は……本当に惚れている奴には、どう接していいのか分からないんだ……前、いつものように振る舞ったらナマエは軽くあしらった……それから俺はこうして少しでも違う接し方をしているんだよ」


と、言ってきた、若干、考えがズレてる気がするがシーザーの気配りに思わずキュンと来てしまう

そしてシーザーは私の手を自分の方に引き寄せて、手首にキスをした

シーザーの行動に驚いていると、真剣な顔で私を見て


「俺がこうして気持ちを告白したんだ、是非ともナマエの返事を聞きたいな」


と、言ってきた、イタリア人は誰でもこうなのか!?と、一瞬疑うが、シーザーの顔は至って本気だ

一瞬で沢山の事が起きたので、もう私の脳は余計なタスクを削除しないと爆発する

そんな状況になってもシーザーは返事を催促する、そしてその間にもさっきと同じように手首にキスをしてくる


「本当は催促するもんじゃあないけど、そうでもしないと返事を聞けなさそうだからね、ナマエ場合は」

「……ッ……このスケコマシーザー……!!」


シーザーの言葉に睨みながら言い返したが、シーザーの瞳の中の私は顔が真っ赤で全く怖い顔をしてなかった

誰か頼むからこのスケコマシーザーを殴るか、私の顔の熱を取り除いてくれ……!!




手首……欲望(不足・不満を感じて、これを充足させようと強く望む気持ち)
 

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