10000HIT御礼企画
□17、腹
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17、腹
(臨也視点)
夜、ベッドでスヤスヤと気持ちよさそうに眠るナマエを見て、俺は思わず頭を撫でる
すると気持ちよさそうに手に擦り寄ってきたナマエ、それを見て少し口角が緩む
ナマエは俺の彼女……になる予定の人だ、まだ告白はしていない
だが、こうして懐いているのを見ると俺とナマエは愛し合っているのだと理解する
「……ナマエ」
ナマエの名前を呟いて、俺はゆっくりとナマエに寄り添う
ドクドクと規則正しい心拍数を聞くと今までにないぐらい落ち着いてくる
ずっとこうしていたいが、それでは変態になってしまうからやめておく
思えば、俺がこうして特定の人物を愛すなんて今まででは考えられない事だ……人間が好き、そんな俺は特定の人物を愛す事はしなかった
全て平等に扱い、全て俺の駒……そう思っていたのにナマエは自然と俺の心の中に入ってきた
気が付いたらここ最近、ナマエの事しか考えてない気がする……とことん魅了されてしまったようだ
「俺も重症だね……」
そう呟いた時、俺が入ってきた窓から冷たい風が勢い良く吹いた
急に来た冷気にナマエは身を縮めて体を温めようとしたが、俺がそばにいたので俺も巻き込んで縮んだ
おそらく無意識だが、俺を抱き寄せてくれたのは事実だ
嬉しくて大声で話したくなるのを抑えて、俺はナマエの寝顔を間近で見る
もし俺がナマエから生まれたら……きっとナマエは今以上に俺を大切にしてくれるだろう
そんな事を考えながらナマエの腹部に顔を寄せる
ふわりといい匂いがして、頭がクラクラしてくる
「……ナマエ……好きだよ……大好き」
そう呟きながら俺は服の上からナマエの腹にキスをした
無機質な布の感触だったが、そこには確かにナマエの体温があってそれだけで幸せな気分になる
そして俺はしばらくナマエを抱き締めた後、別れの挨拶をしてナマエの部屋を後にした
「ああ……いつになったらナマエは俺の名前を呼んでくれるのかな?今度、アイツらを使って一度攫わせようかな?でも傷はつけたくないし……」
どうやったらナマエが振り向いてくれるか呟きながら道路を歩いた
冷たい夜風が当たっているのにも関わらず、さっきナマエの腹部にキスをした唇は酷く熱を持っていて、まだあの暖かさが残っていて口角が上がってしまった
腹……回帰(ひとまわりして、もとへ戻ること)