10000HIT御礼企画
□7、唇
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7、唇
ひょんな事から恋人同士になった私達、元々、前から仲が良く学校でも時々噂になっていた私達、恋人と言う関係になったのにも関わらず、やっている事は前とほとんど変わらない
現にこうして、花京院はゲームをして、私はそれをボーッと見ている
F-MEGAをやりながら時々鼻歌を歌う花京院を私はただボーッと見ていたり、参戦したり、ちょっかいをかけたりしているだけだ
そして、花京院が満足しながらF-MEGAを終わらせると、私の隣に座り、適当に駄弁るだけだ
「ふぅ……ストレス発散した……」
「そんなにストレス溜まってないでしょ?花京院毎日やってんだからさ」
「ナマエと違って、僕は意外に溜まりやすい体質なんだよ」
「またまたぁ……この間、ハイエロファントで周りを監視しつつ猫と戯れてたクセに」
「…………何処で見てた?」
「あそこは私の家から丸見えなんだよー」
今もこうして花京院を茶化すように喋りながらイジリ倒す
付き合っているのに名前で呼ばないのは"花京院"と呼ぶ事に慣れてしまっているからだ、最も、花京院はそれを気にしていないのもある
一度、典明と呼んだらド●クエの冒険の書が消えた時のような顔をされたのもあったりする
「そう言えば、今度、承太郎がポルナレフに手紙出すんだって、ついでに私も送ろっかなァ」
「ポルナレフか……今何をしているんだろう……」
「さあ……何処かのお嬢さんを口説いてんじゃない?」
「ナマエも最初は口説かれてたね」
「あれは少しトラウマだった」
そんな事を言いながら、あの旅の事を思い出す、DIOに肉の芽を植えられた花京院は承太郎を襲ったが失敗して、結果承太郎の仲間になった
その後を追うように私も肉の芽を植えられ、承太郎達を襲ったあと、無事肉の芽を引っこ抜き、共に向かうことにした
アヴドゥルさん、イギーを亡くして、花京院までも瀕死状態になったあの戦いは今でも鮮明に思い出せる
だが、二人を亡くしたからこそ、花京院が病室で目を覚ました時、嬉しかった
「?ナマエ、どうしたんだい?」
「ん?なにが?」
「なんだか、少し涙目だから……」
「……ああ……いや、なんだか……エジプトの旅の事を思い出しちゃって」
「……そう……」
いつの間にか目に浮かんだ涙を軽く指で拭きながら大丈夫だと言って花京院の方を向く
「……ナマエ……」
花京院は急に私の肩を掴んで名前を呼んできた、少し戸惑いながらも返事をすると顔を赤くして目を瞑ってきた
これはもしかすると……キス?……いやいやいや……ないない……あの花京院が急にキスなんて……いや、なんか顔近くない!?
花京院のいきなりの行動にパニックに陥っていると、寸での所で花京院が止まった
閉じかかっていた目をゆっくりと開けると、花京院は目を手で覆って顔を赤くして唸っていた
どうやら恥ずかしいようだ、自分でやろうとしていたくせに今になって羞恥心が出てきたようだ
内心笑いながら、花京院と、名前を呼ぶと、花京院は肩をビクつかせたあと、素早いスピードで、自分の唇に指先をつけて、次に私の唇に同じように触れた、そして
「…………元気出してくれ……その……確かにあの二人の事は悲しい……でも、その分僕達が幸せになればいいんじゃあないのかな」
と、少し吃りながらも、今の私にとって心の支えになる事を言ってくれた
キスというか、間接キスにもならなさそうな早さだったけど、充分花京院の優しさは伝わった
「……そうだね……いつまでも落ち込んでたら二人に悪いよね……ありがとう、花京院」
私はお返しに微笑みながらそう言って、私から花京院にキスをした
その後、顔を今まで以上に真っ赤にしてソファーから倒れるように落ちた花京院だった
唇……愛情(異性を恋い慕う気持ち、恋愛の情)