Short2
□ガーデニアが咲く
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パラリとページを捲ると、ナマエが産まれた時の事が詳しく書かれていた、また捲ると次は幼稚園ぐらいの記録が書かれている
どうやらナマエはスタンド使いだったのでだいぶ疎外されていたようだ、先天的なスタンド使いにはよく見られる事なのだろうか
ナマエの昔の事を見る度に小さな疑問が浮かんでくるが今はそれを解決しようとは思わない、次々と捲っていくと知りたかったページに案外早く辿り着いた
"私はよく嘘つきだと言われるが私には見えている"
"私にだけ見えるのがおかしいのなら、皆に合わせよう"
"私の考えている事は表に出さないでおこう、本気で本当に大切な人にだけ本心を話そう"
おそらくナマエが本心を出していないのはこれが原因だろう、ナマエは昔から続いていて今こうして本心を出せないのだ
小さい頃のナマエがどう思ってこの結論に出たのか分からないが、当時はどんな気持ちだったのだろう、そんな事を考えながらページを捲り続ける
「……この辺は最近の事か」
思わずピタリと手が止まり文字に見入ってしまう、"東方仗助君、広瀬康一君、虹村億泰君初めての私だけの友達が見える人達、嬉しい、やっぱり私以外にもいた"
"次々と私と同じのスタンド使いと出会えている、もう本心を出してもいいのにまだ怖がっている私がいる、皆に悪い事をしている"
そんな文字を見て僕の事がまだ書かれていない事に少しだけショックを受けた、そりゃあ自分の彼女が他の奴らの事を先に話すなんてショックを受けるしかないだろう
溜め息をつきながらページを捲ると待ち望んでいた文字を見つけた
"露伴先生、康一君から教えてもらった漫画家"
"ピンクダークの少年は露伴先生の事を知るいい機会かもしれない"
"露伴先生は結構わがままな性格をしている"
露伴、露伴、露伴……僕の名前がしばらく続く、こんなに僕の事を気にしているなんて中々可愛いやつじゃないかなんて思ってしまう
「さて、本当に僕の事が好きなのか確かめてやる」
そう呟きながらページを捲るとナマエから見た僕の事が沢山書いてあった、どうやらここのページは付き合ってからの僕の事が書かれているようだ
"あの露伴先生が私の事が好きだって言ってくれた、嘘じゃない本当の事、こんなに嬉しい事は無い"
"露伴先生が真剣な時の表情が好き、コーヒーを飲んでいる時が好き、なんだかんだ言って私の事を気にかけてくれている所が好き"
"露伴先生の全部が好き"
"本当に好きなのに露伴先生は疑っている、もしかしたら露伴先生は私の事が嫌いなのかもしれない"
読んでいくうちに恥ずかしくなっていき顔に熱が集まるが、最後の文字を見てページを捲ろうとしていた手がピタリと止まった
「疑っている……だって……?」
ナマエの文字に思わず嫌な汗が垂れるのを感じた、確かに少し疑っていた、だが嫌いだなんて思っていない、きっとナマエは昔の名残で普通の人間より慎重なのだ
ナマエに思っても見なかった心配をされているのに気が付き、なんとなく次のページを読む気がなくなった僕は、本になっているナマエを元に戻した
「……あれ?露伴先生いつの間にコーヒーを置いたんですか?」
「……ついさっきだよ」
ナマエの本心が気になってやった事だが、思っても見なかった文字にぎこちなくなってしまう、ナマエはそんな僕を見て少しだけ首を傾けた
そんな心配をナマエにさせないために、僕はまた意を決して自分でも恥ずかしいと思う言葉を言う事にした
「……ナマエ、好きだ」
そう言うとナマエは一瞬目を見開いて少し馬鹿にするように笑い出した、きっと冗談だと思っているのだろう、だが真剣な僕の目を見てナマエは徐々に顔を赤くし始めた
これできっとあのページの文字は変わっただろうと、少しだけナマエの心境を気にしながら返事が少し気になりナマエの方を向いてみた
するとナマエは前とは少し違った笑顔をして僕の方を見てから、照れたようにまた笑い
「私も好きですよ露伴先生」
と言った、その言葉を聞いて今度こそ顔が熱くなってきたが、気にしていない素振りで僕は余所の方を向いた
視界には先程ナマエから受け取った花が一層白く映っていたが、瞬きをすると気のせいだったのか白さは元通りになっていた