Short2
□ガーデニアが咲く
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(露伴視点)
僕には立場的に彼女と言える女性がいる、ソイツとの出会いはあの康一君と同じ時、サインを貰いに僕の家に来た時だった
ナマエ、ソイツが僕の現彼女、彼女だなんて面倒くさいだけかと思っていたが持ってみると案外普通で、変に構えていた僕が馬鹿みたいだった
ナマエはあの時ヘブンズ・ドアーで本にはしてないので僕に対する感情は実のところ決定付けられていない
「露伴先生ぇー、お邪魔します」
噂をするとなんとやら、彼女が来た、部屋から出てみると紙袋を引っ下げて玄関で靴を脱いでいる彼女が見えた
こんなに警戒心がないのに彼女も一応スタンド使い、もっとも僕のような後天的なスタンド使いではなく生まれついての先天的なスタンド使い
生まれついてのスタンド使いは一体どんな人生を歩んできたのか物凄く気になっていたりする、クソッタレの仗助は使えないが
「よく来たな、丁度今漫画が描き終わったところだ」
「あ、本当ですか?じゃあついでにコーヒーでも煎れてきますよ、あ、これお土産です」
声をかけるとナマエはニコニコと笑いながらコーヒーを煎れると言って僕に土産を渡して台所に向かって行った
ナマエの背中を見送りながら渡された紙袋の中を覗いてみると、少し小さめの植木鉢に入った白い花が入っていた
「おいおいおいおい、なんだよこの花」
「露伴先生の漫画のいい資料になるかなって思って、形も可愛いですし、虫とかに注意すれば比較的育てやすいらしいですよ」
「……僕に育てろって事か?」
「露伴先生仕事すぐ終わらせているじゃないですか、偶には花を育ててみて下さいよ、いい刺激になりそうですよ?私も暇な時に一緒に育ててあげますから」
「……仕方ないな……」
ナマエの言葉に少し不満だったが紙袋から花を取り出し、窓際に置いてみた
こうして見るとなんだか少しバラにてて育てにくそうだ、二、三日で枯らしてしまいそうな雰囲気もする
少し心配だったがナマエの言葉を信じて、僕はソファーに座る事にした
少ししてナマエがコーヒーをテーブルに置いてから僕の隣に座った、そんなナマエを横目に見て僕はコーヒーを一口飲む
ふぅ……と溜め息をつくとナマエはニコニコと僕を見ているだけで、なんだか少し不気味に思えてきてしまった
「なんだよ」
「なんでもないですよ」
何かあるのかと思い聞いてもどうやらただ単に僕の顔を見ていただけの様だ、ナマエはいつもヘラヘラニコニコして本心をあまり外に出していない気がする
一応彼氏と言う立場のこの僕に本心を明かさないなんてなんて奴だ、ふとそう思い、少しだけナマエをからかってみる事にしてみた
「なんでもないって言われると物凄く気になるじゃあないか、本当になんでもないのか?なんならスタンドを使ってもいいんだぞ?」
コーヒーを置きながら意地悪い笑顔でそう言うとナマエはポカンと僕の方を見て、それから困ったように笑い出した
「えー、確かになんでもない訳じゃないですけど……言わなきゃダメですか?」
「それが気になるんだよ」
「……本当、露伴先生ってわがままですよね」
ニヤニヤと少し腹が立ってくる笑顔でそう言うナマエにうるさいと言いながら頬を抓る
少し赤みを帯びた頬を押さえながら謝るナマエにまた自然と溜め息が出てしまった
やはりそうだ、ナマエはいつもニコニコしていて本心なんて表に出さない、出す時と言ったらそう……
「露伴先生、好きですよ」
いきなり本心を出す時だけ言う言葉をナマエは呟いた、急に出てきた"好き"と言う単語に飲もうとしていたコーヒーを落としてしまいそうになった
ナマエはいつも僕に好きだと言う、その時だけは本心を出していると言うが一日三回は必ず言ってくるので正直あんまり信憑性がない
ナマエを信じてない訳ではない、ただ普段言わないのにこうして急に言ってくるのでからかっているのかもしれないと思ってしまうのだ
「……ヘブンズ・ドアー……」
意を決して僕はそう呟いた、空中に描いた僕のスタンドの絵を見てナマエはパラパラと音を立てながら本になった
気が付いたらきっと怒るだろうから空いている隙間に"ヘブンズ・ドアーを使われた事に気付かない"と書いておく
準備は整った、いよいよこれから本心を出さないナマエの本心に探りを入れてみる