Short2

□悪戯心と羞恥心
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今日は私ナマエにとってとても厄日なようで、朝から今まで良い事が全く無く悪い事ばかり起きている、まず今朝は目覚まし時計が落ちてきてその痛みで目が覚めたその後の朝食の目玉焼きが焦げてしまい更には時計が合ってなくて慌てて家を出る始末

通学途中でも悪い事は続き、電車に間に合ったのは良かったがいつも降りる駅より三駅も乗り過ごし、全速力で学校に向かう途中転ける事三回、膝から血を流しながら教室に入ると担任に怒られるどころか同情された

膝の傷にと隣の席のシーザーに絆創膏を貰ったが袋を破いた時絆創膏が飛び出て窓から外へと出て行った、唖然としているシーザーに謝りなんとか保健室で絆創膏を貼って貰った

更には体育では男女別でドッチボールをやったのに遠くから飛んできた男子のボールに直撃し、痛みに悶えていると敵チームの容赦ないボールが顔面を直撃、私はまた保健室へと向うことになったこうして今に至る訳だが


「もしかしたら私今日死ぬかも」


額に大きなガーゼを貼りながら私は昼食を一緒に食べているスージーQとジョセフとシーザーにそう言った、すると三人は否定するどころかその可能性もあると言い出した


「酷いよ!!なんで私がこんな目に!!」


感情が高ぶり思わず拳を机に叩きつけた時右手に持っていた箸が飛んだ、まだ一度も使ってない洗いたての綺麗な箸が、左手で机を叩いたのに何故か右手に持っていた箸が飛んだ

カランカランと軽い音を立てながら床に落ちた箸、それを呆然と眺めているとジョセフが割り箸を恵んでくれた、泣く泣く箸をケースに戻し気を取り直して割り箸を割るとバキンッと嫌な音を立てて歪な形で割れた

わずか数分の出来事でここまで不幸が訪れるなんてそうそうない、むしろ清々しい気分にさえなってくる、歪な形の割り箸を悪戦苦闘しながら持って弁当を食べる


「……ナマエ本当についてないな……」

「逆になにか憑いてんじゃねぇの?」

「ナマエ困った事があったらすぐに私に言ってね、力になるから」


数分で理解出来たであろう私の不運を見てシーザー、ジョセフ、スージーQがそれぞれの反応を見せた、そんな三人の言葉を私は頷いて答えてまた弁当を食べ進めた

昼の授業もやはり私はついてないようで、リサリサ先生の授業なのに急に腹痛に襲われて集中できなかった授業が終わったらすぐに手洗いに行こうと考えた時授業が終わった、その直後先程の腹痛が嘘のようになくなったのだ

やはりこれはなにか悪い物でも憑いているのだろうかと昼にジョセフに言われた事を思い出して私は軽く自分の肩を叩いた、すると当たり所が悪かったのか腕が痺れた


「うう……もう嫌だ……」


もう後は帰るだけなのに今日一日で私の気力は無いに等しい、それに今日は月曜日……あと四日も学問に勤しまないといけないなんて最悪だ

もう立ち上がる気力もなくてただ項垂れていると帰る方向が同じのジョセフが不貞腐れたように私の前の席に座った、途中まで同じ道のスージーQとシーザーはバイトで先に帰ったそうだ

あとは私とジョセフが帰るだけ……なのに立ち上がる気力もない私はただ疲れたように項垂れるだけだった、そんな私にジョセフは文句も言わずただ前の席に座りジッと私を見るだけだった


「ナマエ、今日は散々だったな」

「…………うん」

「まあ疲れただろうから少しは休んでてもいいぜ、俺今日暇だし」

「……ありがと……」


少しの沈黙の後ジョセフは私を慰めるような口調で話しかけてきた、返事をする気力はあったので静かに返事をする、部活が始まった時間のようでグランドからは運動部の声が響いてきた

教室の鍵は日直のジョセフが管理するのでいつまでもここにいる事ができるがそれではジョセフに迷惑がかかると思い重たい腰を持ち上げて私は帰る支度をした


「落ち着いたか?」

「うん……ごめんジョセフ」

「俺としてはそこはお礼が欲しかったぜ」

「……ありがとうジョセフ」


私が立ち上がったのを見上げてジョセフもゆっくりと立ち上がった、ジョセフはお礼が聞きたいと入ったが申し訳ないのには変わりない

教室の施錠もしっかりしてジョセフは職員室へ鍵を返した、そのまま校舎を出ていつもなら生徒指導の先生がいる門を通り過ぎる

それまでの間でも私とジョセフの間に会話はなく、私の不幸は二回訪れた、躓いて転びそうになった所をジョセフに支えてもらったのと、散歩中だった犬が飼い主を振り切ってこちらへ走って来たのをジョセフに止めてもらったり

どうやら私の不幸はジョセフのような屈強な男子がいると最小限に抑えられるようだ、迫り来る不幸を弾いてもらう度に私はジョセフに礼を言った、それのせいか先程からジョセフの顔が綻んでいる


「ジョセフがいると私の不幸がどんどん無くなって行くわ……」

「へへヘッ役に立てて何よりだ」


ジョセフの存在に深く感謝をするとジョセフは嬉しいそうにヘラヘラと笑った、そんなジョセフの笑顔は確かに人を幸せにしそうな表情をしている

もしかしてこの笑顔があるから私の不幸は最小限に抑えられているのかもしれない、ふとそう思ったがその直後片足が側溝に落ちたのでそうでもないかもしれない思った


「まただよジョセフゥ……」

「大丈夫かよ、怪我してねぇ?ほら抜けた」

「ありがとう……今日は助けてもらってばっかだね……」


ジョセフに持ち上げてもらい側溝から抜いてもらう、そしてスカートについた砂埃を手で払い落としてまた歩き始めた、あと少しで家に着くのでそれまでの我慢だ、家に着いたら今日は何もしないでおこうと思う


「それにしても今日一日中ずっとジョセフの傍に居たい気分、ジョセフの傍なら落ち着くし」


ジョセフと一緒に帰り初めてから不幸に出会う確率や不幸の重さなども軽くなった気がするので思わず笑いながらそう言ったがよく良く考えればこれは遠まわし告白じみた事をしているのではないかと思ってしまう

思わず熱が顔に集まるのを感じた後視線だけジョセフに向けるとジョセフはそっぽを向いていたのでどんな表情をしているのかわからなかった

顔を赤くしたまま歩いていると急にジョセフが私の名前を呼んできたその声に反応して振り向いた瞬間ジョセフが私の肩を軽く押してそのまま近所の家の塀に私を押し付けた、頭がぶつかるか心配だったがジョセフが手を間に挟んでくれて頭は少しゴツゴツした手の感覚を感じた

それよりもだこれは俗に言う壁ドンというものではないだろうか、なぜ今ジョセフが?そしてなぜ私に?そんな思いが頭を駆け巡った


「あの……ジョセ……」

「……ナマエ……俺は……」


顔を直視出来なかったが視線だけをジョセフの方へ向けるとジョセフの顔が少し赤くなっているのが見えた、そんなジョセフを見てなぜか私も自分の頬に熱が集まるのを感じた

ジョセフが何か言いかけたが私はそれどころではない、恐るべき壁ドン心臓が自分の物とは思えないほど高鳴って高鳴って仕方がない


「俺は、笑ってるナマエの方が……好きだぜ……笑顔がいつもかわいくて……」


ドクドクと高鳴る心臓の音が私にだけ聞こえる中ジョセフが顔を真っ赤にしながらそう言ってきた、ジョセフなりに慰めてくれているのが分かる

だが壁ドンだけで恥ずかしくなって顔を赤くしていたのに私を慰める言葉を言った瞬間ジョセフは面白いぐらいに顔を真っ赤にし始めた、どうやら自分でやった癖に恥ずかしくなっているようだ


「あ、ありがとう……元気出たよジョセフ」

「あ……ああ」


結局私はいつものように礼を言って離れようとしたが返事をしたのにも関わらずジョセフは私から離れようとはしなかった、壁ドンをしたまま、私を見下ろしたままでいた

結局私はジョセフの顔を直視できず顔を俯かせたままジョセフが満足するのを待っていた、ジョセフが私から離れたのは壁ドンしていた塀の住人が玄関から出てきた音を聞いてからだった

だがそれから一日中私は今まで散々あった不幸には見舞われず無事に眠りにつけた、どうやらジョセフは私を慰めるだけではなく私の不幸を取り除いてくれたようだ

今では不幸な事が起こる度にあのジョセフの壁ドンと言葉を思い出す、だが思い出す度に顔が赤くなるのは言うまでもない
 

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