Short2

□ああ、気が狂いそうだ
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最近誰かに尾けられているような気がしてならない、例えば仕事帰りの帰宅途中に私の足音に混じるように誰かの足音が聞こえたり、知らない人からのメールも何通か届く着信拒否しても二、三日もすればまた届くのだ

これは明らかに異常なのは分かる事だ、しかしどうにも違和感を感じてしまうのだ、なにかがおかしいと思う時があるメールの文など見ているととても違和感を感じるのだ

文面的にはただのストーカーじみた変出者の文字だが使われている単語がまるで、知り合いにでも送るような雰囲気の文章なのだ


「一体なんなのよ……」


パソコンでストーカー撃退方法など検索してもあまり私の被害には当てはまっていない気がする、なんと言うか私に取り付いているストーカーは他のより違う雰囲気があるのだ

溜め息をつきながら気分を落ち着かせるためにコーヒーを一口飲む、その直後携帯が鳴り始めた、せっかく癒されていた気分が害された気持ちになり思わず顔をしかめながらメールを確認した


「……なによコイツ……」


思わず携帯を落としそうになったが私は震える手でそれを机の上に置いた、いつも通りになってしまったストーカーからのメールは今回ばかりは異常な物だった

"やあナマエ!!いきなりだけどようやく俺のマンションの準備が整ったんだ、ちょっと小さいけどナマエの今の部屋を再現できたから今からすぐに俺のマンションに来ても大丈夫だよ、大家さんには俺から言っておくからとりあえず今から迎えに行くよ"

無機質な液晶画面が映し出したのはその長い文章で、所々にある単語がストーカーの異常な性格を醸し出していた


「私の部屋を再現……?何を言ってるのよ……私はアンタなんて知らないのに……!!」


もう一度見た液晶画面にそう呟きながら私は止まる事を知らないストーカーの行動に頭を抱えた、ストーカーが一番厄介な相手だとは聞いていたがここまでとは思わなかった

とにかく今ここにいてはいけないと思い、私は部屋着を着替えて財布や携帯、その他の貴重品をある程度鞄に入れてマンションから出ようとした

しかし、鍵をかけていた筈の玄関が鈍い音を立てながら開いた時、私はその場から動く事が出来なかった

ゆっくりと開く扉の隙間から真っ黒い髪の毛とファーコートが見えた、扉が完全に開ききった時、扉を押さえる事も部屋の中に逃げる事も出来ない私を迎えたのは笑顔だった


「やあナマエ」


先程送られてきた文章の冒頭と同じ言葉を言ったその男は当然だと言う雰囲気でそう言ってきた


「あれ?どうしたの固まって」

「……あ……」

「もしかして俺と久しぶりに会ったから嬉しいの?急に会いに来て迷惑かなって思ってたけどやっぱり俺のナマエだね、そこら辺の人間とは違う」

「俺の……ナマエ?アンタ誰よ……」


ペラペラと笑顔のまま話し出すその男は私を自分の物とハッキリと言ってきた、私にはそれがどうしても気に食わなくてストーカーを刺激する一番言ってはいけない言葉を呟いてしまった

ストーカーは私がそう言うのを聞いた後今まで浮かべていた笑顔を無くした、それだけで相手を怒らせてしまったかもしれないと言う恐怖心が私を覆った、しかしストーカーはまた私の予想を覆す行動を取った


「アハハ、そりゃ分からないよね、俺の名前は折原臨也だよ、これからナマエと一緒に住むから覚えておいてね」


笑顔をもう一度浮かべて自然に自己紹介をするようにそう言ってきたのだ、しかし後ろについている言葉はまた私の背中に寒気を走らせた


「何を……言って……!!」

「俺さ、今まで沢山の人間を見てきたけどナマエみたいな人間は初めてだったんだ、あ、どこでナマエを知ったかはまた後でゆっくりと教えるから安心して」

「……え……」

「まあ正直に言うとナマエを完全に俺の目に届く所に置きたくなっちゃってね、大丈夫会社とかにはここに来る前に辞めるって言っておいた、これからは俺のマンションで俺だけの助手になってナマエの事をもっと観察させてよ」


早口気味にペラペラと話す折原臨也とか言う私のストーカーは変わらない笑顔のままそう言ってくる、途中からショックでほとんど聞き流している状態になってしまったが、もうこの折原臨也からは逃げられないと言う事がよく分かった

強く強く離さないように握られている手を私は握り返す事も出来ずに、ただダラリと力を抜いている事しか出来なかった

そんな私に折原臨也は変わらず気持ち悪い愛の言葉を私に言い聞かせる、途中気を失ってしまった私だが気が付くと変わらぬいつもの部屋にいたがその部屋には折原臨也が当然のように立っていた、部屋の大きさも少し小さく感じた
 

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