Short2

□君の香りと
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アヴドゥルの場合


アヴドゥルの頭は麩菓子が刺さっている

そうポルナレフが言ってからすぐ、アヴドゥルさんがクロスファイアーハリケーンをぶちかましたのは言うまでもない

私も一時期アヴドゥルさんの頭の件に苦悩した、誰でもあの髪型の秘密は気になるだろう

なので私はとある作戦に出た、幸い天は私にアヴドゥルさんの秘密を解けと言わんばかりに最高の状況を作ってくれた


「先に入るかナマエ?」

「いいんですか?」

「もちろん、明日も早いし早めに入った方がいいだろう」


この会話から分かると思うが、私は今日アヴドゥルさんと同じ部屋なのだ、なので風呂上がりのアヴドゥルさんを見る事ができてあの髪型の秘密が解けるという事だ

アヴドゥルさんが先に入っていいと言うのでそれに甘えて私は悠々と入浴の支度をし始めた

そこでふと手が止まり、ある失態をしたと思い出す、昨日泊まったホテルで私はどうやらリンスを置いてきてしまったようだ

シャンプーはあるので無理にリンスをしなくてもいいのだがここはエジプト、砂や温度の高い日光で私の髪の毛のキューティクルはまずい状況になっているだろう


「うああ……」


思わず明日の自分の髪の毛を想像して項垂れていると、アヴドゥルさんがどうかしたのかと聞いてきた

両手で顔を覆いながらリンスが無いと呟くとアヴドゥルさんは当たり前のようにリンスを取り出し渡してくれた


「……え?」

「私のでよかったら使うか?」

「…………え?……アヴドゥルさん……アヴドゥルさんリンスしてたの?」

「そりゃあこのエジプトじゃあ髪の毛が痛むからな」

「……やだ女子力高い……」

「何言ってるんだナマエ」


アヴドゥルさんがリンスを持っていた事に驚きを隠せなかったが、ここで借りなければ私は明日一日中後悔するだろうと考えアヴドゥルさんの優しさにまた甘える事にした

アヴドゥルさんはこういうところで頼りになる、エプロンを着ていた方が似合うんじゃないかと思いながら私はシャワーを浴びる

シャンプーをした後香りを重ねるようにアヴドゥルさんから借りたリンスを髪に馴染ませるようにつける

シャンプーよりも少し強い香りがする、結構女性も使っていそうな優しい香りをアヴドゥルさんが使っているなんて知ったらきっとポルナレフ辺りが笑い転げるだろう

アヴドゥルさんの意外な一面と私以上の女子力に色んな意味で顔を覆いたくなったがそのままリンスを洗い流す、なんとなく名残惜しかったがずっとこのままいるわけにはいかない

若干濡れているがある程度髪の毛を乾かし、部屋着に着替えてアヴドゥルさんが待っているであろう部屋に戻る


「アヴドゥルさんありがとうございました」

「ああ、じゃあ私も入るかな」


アヴドゥルさんに礼を言ってからリンスを手渡すとニコリと口角を上げてアヴドゥルさんは笑った

そんなアヴドゥルさんの笑顔に私もへにゃりと口元が緩んでしまう、一瞬アヴドゥルさんが何か気付いたような表情をした気がしたが私はよく分からなかった

だがその後アヴドゥルさんの言葉でアヴドゥルさんが何を思ったのか分かったのだった


「私と同じ香りがするなナマエ、なんか変な気分だが嫌じゃない」


浴室に向かいながらそう言ったアヴドゥルさんを私はボーッと見つめる事しか出来なかった、ちなみに風呂上がりのアヴドゥルさんの髪の毛は記憶が抜けていて思い出せなかった
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