Short2

□Give me an answer
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「くっそ!!テメェら読んでやがったな!!」

「どうする銀時!!このままじゃあ全滅じゃ!!」

「チッ……高杉やヅラ、ナマエは大丈夫か……?」

「銀時ィ!!聞いとんのかお主は!!」

「うるせぇぇぇぇ!!聞こえてるっつーの!!」


あの地鳴りのようなものは天人の軍が押し寄せ、俺達に向かって爆発物を投げてきた物だった

結論から言えば俺達は今、結構ヤバイ状態だ、急な襲撃で作戦は全て崩れ、今となっては目の前の天人を斬り続けるのに精一杯だ

一刻も早く全員撤退したいが、三組同時ではないとおそらく天人は一人でも多く殺そうとして別の隊に向かって行ってしまうだろう

どうするべきか考えていると、遠くの方で撤退を意味する笛の音が聞こえてきた、それが耳に入った瞬間、俺は目の前の天人を叩き斬り辰馬に引くと伝えた

俺達は奇跡的に致命傷を負わずに拠点へ辿り着いた、天人達にも追われたり拠点を知られた気配はない、肩で息をしながらそのまま居間に向かう

居間の中は騒然としていて、何事かと思わず顔をしかめてしまう、どうやら辰馬も何が起きているのか分からないようで首を傾けていた


「おい、何があった?」


居間を忙しく移動する奴らにそう言った時、奥の方から人を掻き分けながら高杉が出てきた

高杉の表情はなんとなく気まずそうな顔をしていて、俺はそんな高杉の顔を見て一目でなにか悪い事が起こったのだと理解した

高杉が何かを話そうとした瞬間、人と人の間から奥の様子が見えた、人混みの中心にはナマエがグッタリと寝ていて、ヅラが慌てた様子で対処をしている様だった

ナマエの顔色は真っ青で、ただ疲れて寝ていると言う事ではないのは一目瞭然だった


「ナマエッ!!」


俺は弾かれたようにナマエに向かって走り、止めようとする高杉の腕を振り払い、ナマエの傍に駆け寄った


「ヅラ、何があった!?」

「銀時……貴様らには怪我はないか?」

「俺達の事なんてどうでもいいんだよ!!ナマエに何があったか聞いてんだ!!」


俺が無事なのを確認したヅラはホッとしたようにそう言ったが、俺はそんなヅラの言葉をかき消すように叫んだ

そんな俺にヅラは驚いたように目を見開いたがすぐに視線をナマエに戻し、ゆっくりと何があったか話し出した

撤退の合図の笛を鳴らしたのはナマエで、その後すぐナマエとヅラ達は撤退をしたが、背後から追ってくる天人の攻撃を受けてしまった、どうやら毒薬入りが混じっていたようでナマエはそれに当たってしまったという事だった

荒く、短い間隔で呼吸を繰り返すナマエは脂汗をかき、顔や唇が真っ青で見ているのも辛い様子だった

懸命に熱を冷まそうとしているが一向に下がらず、逆に上がってきているようだ


「ナマエッ!!おい!!しっかりしろ!!」


脂汗をかいているのにひどく冷たいナマエの手を握りながらそう叫ぶが、ナマエからの返事はない

目の中が自然と熱くなってくるが、俺は何度も何度もナマエを呼んだ

しばらくしてナマエは俺の声に一度も反応する事なく、静かに呼吸を止めた

ショックのあまり言葉を失った俺に、辰馬と高杉が静かに声をかけながら肩に手を置いた

ナマエは今の拠点の墓場に埋めた、何人もここに眠っているわけだがそろそろこの拠点ともお別れの時期だ、勿論ナマエとも……

全員でナマエを見送り、皆バラバラに自分の部屋に戻って行った、俺は最後までナマエの墓前で立ち尽くしていた

ゆっくりとナマエの墓石替わりの木で作った十字架に近付き、手を合わせる


「……ナマエ、あんだけ元気だったテメェがあっけねぇな……俺としてはもう少し長生きして欲しかったよ……」


そう言うがあの時と同じ、返事はない、ナマエの声を聞いたのは今日で最後だった、今日の夕方には聞いたのに今となってはぼんやりとしか思い出せない

亡くなった人物の事を初めに忘れるのはその人の声だと聞くがあながち間違いでもないようだ


「……好きだったんだ、ナマエ……好きだったんだよなのに死んじまうなんて酷い奴だよテメェは……」


今朝見た夢のようにぶっきら棒にそう言うと、まるでナマエが返事をしたかのように風が吹いてきた

もうそろそろナマエが好きだと言っていた季節、死ぬ時はその季節がいいと言ってたのに世界は残酷だ


「お前は俺の事どう思ってたんだナマエ?……返事してくれよ……」


今まで溜め込んでいた涙を流しながら俺はナマエに向かってか細い声でそう聞く、男が泣くなんて情けないが涙は止まる様子はない

俺はもう一度涙声でナマエと呼んだ、だがやはり返事は返ってこない
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