Short2
□私の心も知らずに
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(ナマエ視点)
私は最近猛烈に怒っていた、弟のジョセフの事でだ、ジョセフとは自分でも仲が良すぎると思うほど仲が良くて、周りの姉弟とは少し違うとも自覚はしていた
ジョセフが甘えたがりなのもあるが、なんだかんだ言って私が許してしまう所でこんなに仲が良くなってしまったのだろう
話を戻そう……私が怒っている理由、それは弟のジョセフが一族の因縁とでも言うべき石仮面を作った柱の男によって毒薬を埋め込まれたのだ
死の結婚指輪、その名の通り指輪の形をした毒薬が私の弟の心臓と喉にあるのだ
普通なら心配をするだろう、だが私は心配と同時に何故そんな無茶をしたのだと言う怒りが込み上げたのだ
最近弟のジョセフと話さないのはこれが原因だ、この事をジョセフは察しているのだろうか、先程の口調からして怒っている事は理解しているが原因までは分からないのだろう
我ながら大人気ないとは思うが、私の怒りは大人としての理性なんかでは抑えられなくて爆発している
「そろそろ晩ご飯かな……?」
腕時計を確認するとそろそろスージーQが言っていた時間になる頃だったので私は上着を一枚羽織ってから食堂に向かう事にした
私の生まれてからずっと使っていた波紋は、修行をする度に強くなっていっている気が実感としてある、今なら弟に無茶をさせずに済むかもしれないと思いながら私は部屋を出るためドアノブを握った
ここしばらくで鍛え上げられた神経はいち早く気配を察知して、私は思わず戦闘態勢を取った、そしてドアノブを捻り扉が開いた瞬間、廊下へ飛ぶように移動した
だが、私の素早い動きは意味がなく、視覚で捉えた気配の原因は見慣れたクセっ毛だった
「……ジョセフ……」
「姉ちゃん、もしかして警戒してた?」
「……うん、柱の男かも知れないって思って」
少し前に廊下で会ったジョセフが私の部屋の扉の横で座っていた、ジョセフは私が名前を呟くとゆるゆると腰を上げて私の方を向いた
そんなジョセフの行動に思わず笑ってしまいそうになるがここで笑ってしまったら私の怒りをジョセフは察しないだろうと思い踏みとどまった
表情をなくした私を見てか、ジョセフは少し眉毛を下げながら悲しそうに笑った
「姉ちゃん、食堂行くんだろ?一緒に行こうぜ」
「……悪いけど、私は一人で行きたいの」
「…………そっか……」
「じゃあねジョセフ」
悲しそうに話すジョセフに思わず頭を撫でてあげたくなる衝動を抑えて私はジョセフに背中を向けた、丁度廊下の奥からはご飯のいい匂いがしている
私はそんな匂いに釣られるように少し口元を緩ませながら廊下を歩いた
食堂に入ってから、なるべくジョセフとは話さないようにスージーQの傍にずっといる事にした、スージーQは初めは少し驚いていたように声を上げたが、私の怒りの原因を知っているためか最終的には納得をしているような顔付きになっていた
ちなみに私が何故ジョセフと距離を取っているかと言うと、怒りもあるしジョセフのシスコンを少しでも治そうという企みもあるからだ、だからこれはジョセフのためでもある
そう自分で解決をして私は疲れた身体に栄養を巡らせるためにご飯を沢山頬張った