Short2

□犬心
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エアサプレーナ島で波紋の修行を始めて数日、ジョセフの体内に埋め込まれた指輪のために急ぎ足で修行をしているわけだが、結構休憩の時間も貰えている

ジョセフのために付いて来て波紋の修行をしている私は今とても困っていた

目の前には毛むくじゃらの愛くるしい生物、瞳はまるでこの世の闇を知らないようなクリンクリンの黒目、そしてなんか全体的にフワフワしている……そう、犬だ

シーザーの買い出し袋に入っていたようで、受け取って袋を開けた瞬間飛び出てきたのだ、幸運な事に袋の中は缶詰類だったので毛とかは入っていない

だが、やはり問題はこの犬だ、エアサプレーナ島は完全なる孤島で帰すにもだいぶ時間がかかる


「ハァ……また厄介な事になった」


思わずそう呟いた時、目の前の犬は私の方にテチテチと寄ってきて、前足を器用に私の足に付けて二足で立ったのだ

思わずキュンとしてしまいそうになるが、ゆっくりと犬を持ち上げて退かした後、シーザーが買ってきた食料を棚に入れる

本来ならこれはスージーQの仕事なのだが、彼女は体調が優れていなかったようなので私が半ば強制的に寝かせた、その分私が働かないといけないが、そこまでしっかりやらなくてもいいそうだ


「ワンッ」

「…………」


かわいらしく鳴き声を上げる犬の声を聞きながら私は心を鬼にして作業を進めた

少しして入れるべき場所にしっかり入れた私は、ゆっくりと振り向いてまだ尻尾を振っているかわいい生物に手を伸ばした

フワフワとした感触をしばらく楽しんでいると、私の名前を呼ぶジョセフの声が聞こえてきた、慌てて手を犬から離そうとしたが、犬はそうはさせまいとまた器用に前足を使って私の手をホールドした


「ナマエ、こんなところに居たのか…ってなんか小さくね?」

「ジョセフ……実は私小人なんだ」

「嘘だろ」

「嘘だよ」


傍から見たら馬鹿らしいやり取りをしながらもジョセフは私の方に寄ってきた、その間にも私は犬から手を離そうとするが今度は甘噛みをしてまで犬は私の手を離そうとしなかった

ついにジョセフが私の背後に回った時、ようやく犬は前足と口を離したのだが、完全にジョセフは私をからかう準備をしていた


「ナマエ……お前その犬どこで?」

「……分かんない、シーザーが買った缶詰類の袋に入ってた」

「へぇ……つーか、それにしてもお前ッ……ブッ!!」

「笑うなァ!!誰でも撫でたくなるでしょう!?」


笑い出すジョセフに少し怒鳴りながら私は視線をジョセフから犬に変えて、今度は思う存分わしゃわしゃと撫で回した

喜びを表すように犬は尻尾をブンブン振り出して、少し私は笑ってしまった


「なぁ、ナマエ」

「フフッ…んー?なにー?」

「…………」

「見て見てジョセフ、なかなか可愛い奴だよ?取れそうな位尻尾振ってる」


ジョセフが無言になったのを気にせず私は独り言のように犬の可愛さを実況した

犬の可愛さはどうしても否定できない、少し照れくさかったが犬の毛をわしゃわしゃしていると、急に背中に重たい物が乗った

変な声が出たが背中にいるであろうジョセフの方を見てみるが顔は見えなかった


「ジョセフ重たい、退いてくれない」

「ナマエ、犬と俺どっちが大切?」

「ハァ?アンタねぇ、そう言うのは恋人に言うものだよ?」

「答えて」

「意外に女々しいのね……」


ジョセフの思っても見なかった一面に若干驚きながらも小さい声でジョセフだと答える

これで離してくれるだろうかと考えていたがジョセフには一向に離す気配はない

しばらくの間ジョセフをおぶったままになっていたが私の足が悲鳴を上げたので波紋でジョセフにイタズラをしてようやく離してもらった

ジョセフが離れた頃には犬は寝てしまっていたが、何故ジョセフが犬と比べたのかは謎のままだった

なんとなくジョセフが大型犬に見えてしまったのは秘密である
 

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