Short2
□再会、笑顔
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エレベーターは難なく俺とエルメェスを運び、あっと言う間に談話室に着いた、未来の世の中はなんと便利なのだろう
エレベーターに感心しつつ、談話室に入ると、エルメェスの友達らしき人達がエルメェスに向かって手を振っていた
俺はなんとなく気を遣ってしまい、エルメェスと別れた、またゆっくり話そうとしっかりと約束はしたが
とりあえずシーザー達を探す事にした、だが正直な所俺はシーザーと会うのが少し怖い、なんせあんな別れ方をしたのだ
一度も殴った事も怒った事も無いので、次の日どうやって会えばいいのかわからないのだ、もっとも俺は死んでしまったのだが……
「……アイツは、俺を怒るだろうか……」
思わず呟いてしまった一言、それこそが俺が気になってる一番の事だ、シーザーに偉そうな事を言っておきながら死んでしまった俺がどうやってアイツと会えばいい?アイツを殴ったこの手で俺はシーザーの手を握ってもいいのか?
自分の右手を睨みながら俺はそう考える、クヨクヨしても仕方が無いと頭で分かっていても俺の思考回路は止まる様子はない
グルグルと思考を巡らせていると急に背中に強い衝撃が来て、俺は思わず少しフラついてしまった
「痛ッ!?」
「あッ!!やべッ!!」
フラついた途端トドメを刺すかの様にまた背中に強い衝撃が走る、どうやら人とぶつかった様で俺の声に気が付いた誰かは慌てた声を上げた
その声を聞いて俺は心臓が一瞬ドクリと強く脈打ったのを感じた、この声は聞き覚えがある、シーザーと同じ位聞き覚えがある声だ
まさかこんなに早く再会するとは思ってもなったので、俺は若干緊張と恐怖から情けない事に足が震えだした
ガクガクとする足を手で支えながら振り向くと案の定、俺の方を申し訳なさそうに眉毛を下げながらコチラを見ているジョセフがいた、手には誰かと一緒になにか重いものを持ってるようだ
「って……ナマエ……?ナマエか……?」
「……久しぶりだな、ジョセフ……」
ジョセフは俺に気が付くと目を見開いて俺を見た、そのジョースター家特有の緑色の瞳は俺を綺麗に映していてなんとなく安心した
しかし、そんな時間も束の間、ジョセフは何を思ったのか持っていた物を手放し、俺の方へフラフラと近付いて俺の頬を抓った
「痛て!!なにす……ちょっ……痛い!!」
「本当にナマエなのか……?」
「普通は自分の頬で確かめるだろうが!!なんで俺の頬を抓る!?」
「ナマエ……また会ったな!!」
「話聞けよ……まあ、久しぶりだなジョセフ」
ジョセフは俺のツッコミを全て華麗にスルーしたが、俺はなんだかそれがジョセフらしいと思い、思わず笑みが溢れてしまった
若干涙ぐんでいるジョセフを見ると少しだけ心が痛んだ、笑顔がいつも眩しかったアイツにこんな悲しい顔をさせてしまったのだから
ジョセフは笑っていないとジョセフらしくないと思い、俺は少し強めにジョセフの頭をガシガシと撫で回した
やめろなんて言いながら笑い出すジョセフを見て、俺はホッと心が落ち着いた、丁度その時ジョセフが身を屈めたので向こう側に居る人物に気が付いた
「ナマエ……久しぶりですね、元気でしたか?」
「リサリサ先生、お久しぶりです、死人に元気かどうか聞くなんて傍から見たら奇妙ですよ」
「そうでした……ナマエ、また会えて嬉しいわ」
「俺もですよ、リサリサ先生」
ジョセフから手を離しリサリサ先生と握手を交わす、リサリサ先生はサングラスをかけていたのでどんな表情をしているのか分からなかったが少なくとも泣いていて欲しくない
そしてリサリサ先生の方まで移動すると一つ気付いた事があった、俺のすぐ横にはシーザーがいることに
まだ視界の端でしか捕らえてないためシーザーがどんな表情をしているのか、怒っているのか泣いているのか笑っているのか分からない