Short2
□子犬を拾いました。
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「あぶとー!!」
「おう、起きたかナマエ」
「うん!!ナマエ起きた!!」
「普通は自分の名前は言わねぇよ、その場合は"ナマエ"じゃなくて"私"だな」
「うーん……私起きた?」
「そうだ、良くできたな」
「ヘヘッ褒められたァ」
ナマエが起きてきたので本を読むのを一時中断してナマエに言葉を覚えさせる
ナマエは褒められる時は頭を撫でてやると喜ぶ、ヘラリと笑う顔はやはり見ていて落ち着くのだ
髪の毛を解いてやったり、服の帯を締め直してやっていたりした時、ノックが響き、返事をする前に扉が開いた
この入り方は艦内に一人しかいないので良く分かる
「団長、何度も言ってるだろ……?」
「ごめんヨ阿伏兎」
団長だ、いつもと同じニコニコとした薄笑いで俺に手を振っていた、呑気なことだ
ナマエは初めて見る人物に瞬きを何度もして俺と団長を交互に見ていた、説明をしようとした時、団長がナマエの前に移動して挨拶をし始めた
何か変な事をしないだろうかなんてソワソワして俺は見ているだけだ
「初めましてナマエ」
「あぶと、誰?」
「……団長だ」
「……だんちょー?」
「そう、俺団長、本名は神威って言うんだけどネ」
「かむ??」
「まだ厳しいか……団長でいいよナマエ」
「だんちょー、よろしく!!」
「うん、よろしく」
どうやら団長は本当に普通に挨拶をしに来ただけらしく、名前を教えただけで後は何もしなかった
しばらく団長に言葉を教えてもらったナマエは嬉しそうだったが、団長は少し疲れたような顔をして出て行った
「……本当お前は妙な奴を引き寄せるよな……団長だったり俺だったりよォ」
「?」
「まあ、分からないならいいけどな……」
ナマエの頭を撫でながら俺は溜め息混じりにそう言った、するとナマエは分からないような顔をしていたが頭を撫でられているので気持ちよさそうに目を瞑るだけだった
次は何を教えてやろうかなんて一瞬思ってしまった俺はもう少し手遅れなのかもしれない