Short2

□子犬を拾いました。
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(阿伏兎視点)


「阿伏兎、遂にロリコンに目覚めちゃった?」

「……そういうつもりじゃないんだけだな……順を追って説明させてくれ」


俺の手にはスヤスヤと気持ち良さそうに寝る幼い女がいる、こんなところ本当は団長には見られたくなかったのだが……

思わず溜め息が出てしまうのは仕方が無いだろう、俺は片手で女の子を抱きながら空いてる手で頭をガシガシと掻いた

とりあえず俺の部屋に団長を呼び、女の子を布団に寝かせてから団長に訳を話す事にした


「で、ナマエ……あー、コイツはな実は三日位前に俺が拾ったんだよ」

「三日前……あーそう言えば阿伏兎一人である星に降りてたね、と言うかナマエって言うんだその子」

「そう、その時に捨てられてたコイツを俺が拾ったんだ……何故か懐かれちまってなァ……ナマエって言うのは勝手に俺がつけた」


団長とナマエ……この女の子の事を話している内に俺はナマエと出会った時のことを思い出した

確か、俺が降りた星は故郷と同じようにほぼ毎日雨だった……一つ違うのは太陽が出る日はあると言う事だけ、確か夜のうちは雨で昼ぐらいに晴れるそうだ

俺が降り立った時はまだ日が浅い時で雨が降っていた、一仕事終えて船の帰りを待ってる時だった


「……ハァ……本当人使い荒れェよなぁ……あのすっとこどっこい」

「すっとこどっこい!!」

「…………ん?」


いつもの口癖のようなものを呟いた時、俺の声では出ない程高い声が返ってきたので思わず振り向いてみた

すると俺のすぐ後ろにはダンボールのような箱があり、それがガサゴソと内部から動いていた

少し警戒しながら蓋を開けてみると、中から小汚い餓鬼が満面の笑みで出てきた


「どうしたんだ、こんなところで危ェぞ」

「ぞ!!」

「……言葉分かってるのか?」

「分かってるのか!!」

「……どこの餓鬼だ?」

「餓鬼!!」


箱の中に入っていた餓鬼はオウムのように俺の最後の単語を繰り返してくるだけで会話にはならなかった

こんな奴、無視して帰るのが普通だが、なんとなく暇だったし、周りに人がいなかったので俺はソイツと少し遊ぶ事にした


「はじめまして」

「まして!!」

「俺の名前は阿伏兎って言うんだが」

「あ?ぶと?」

「あぶと」

「ぶと?」

「あ」

「あ!!」

「ぶと……阿伏兎」

「あぶと??」

「そうそう、よく言えたな」


とりあえず俺の名前を言わせてみると、なんとなく可愛いと思ってしまい頭を撫でてみた、すると気持ちよさそうに目を細めて笑った

丁度その時、晴れの時間が訪れ、ようやくはっきりと女の子の顔が見えた

ぷっくりとした子供独特の頬の周りには泥が所々ついていて、きっと苦労したんだろうななんて柄にもないことを思ってしまう

ほんの気まぐれだ、本当に全く後の事を考えていなかった、俺はソイツを抱きかかえていつものマントの中に隠して来た船に乗った

それから約三日間、俺はソイツをナマエと名付けて体を拭いてしばらく育てる事にした

結構行儀がいい奴で、お風呂や昼寝以外ほとんど手間がかからない奴だったのが唯一の救いかもしれない


「でも珍しいネ、阿伏兎が餓鬼を拾ってくるなんて」

「うるせェよすっとこどっこい……団長、コイツにはあまり血生臭い事を教えないでくれよ、いずれまた星に返すつもりなんだからな」

「……ハイハイ、分かったヨ、せいぜい頑張ってね子育て」


団長に仕事の事を教えないように釘を刺すと、いつもと同じニコニコとした顔で返事をしてそのまま帰っていった

団長との話が終わった時、ナマエが少し寝返りを打ったので横に座り頭を撫でてみた


「……ん……あぶと?」

「……寝とけナマエ……眠いんだろ?」

「うん……ねむい……」


うっすらと目を開けたナマエに寝ろと言うと少し呂律が回っていなかったが返事をしてナマエは寝た

この寝顔はきっと血生臭い事を知らないから出来るのだろうなんて思いながら俺はナマエの隣に寝そべりしばらく子供独特のプニプニとした頬をつついて遊んでいた
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