Short2
□約束は守ります
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「はぁ……眠いなぁ」
仕事にも慣れてきて今度はそろそろ恋人も……なんて考えながら職場に向かうため電車に乗っているといきなり手を掴まれた
痴漢かと疑う前にその手は思いっ切り私を駅のホームの方に引っ張って行った
いつもなら降りない駅に降ろされて、イタズラにも程があると思い、怒ろうと顔を上げると、そこにはなんだか少し見覚えがある黒っぽい紫が似合う男が立っていた
そう、カーズだ……だが、当時の私は思い出しもせずに
「ちょっと……イタズラにも程があるよ、アンタ誰」
と、カーズに言い放った、今となっては酷い事をしたなぁなんて思うが、そりゃあ誰でもあんな事をされては怒るだろう、しかしカーズは少しも悪そびれず
「……覚えてないのか……まあ、家を買ってしまった今となっては引き下がれないんだがな」
と、当時の私には理解出来ない事を言ったあと、そのまま私の手を掴み、また引っ張った
戸惑いながらもどこか違和感がある雰囲気を感じながら私はそのままカーズに引っ張られた
ようやくカーズが離してくれたのは今住んでいる家の前だった、そりゃあ驚いたものだいきなり少し大きめの家の前に立たされてもう一度しっかりと告白されたのだから
結局、その日は結婚を前提にお付き合いする事を言われ、戸惑ったがカーズが必死にあの日の事を伝えてくれたお陰で約束も思い出して、仕方なく承諾した
今となってはあの日が大切な一日になったが、まだ少しカーズのぶっ飛んだ行動には驚かされる
「ナマエ、どうした?」
「ああ、カーズ……いや、昔の事思い出してさ」
「む……昔の事か…あの教育実習の時のことか?」
「んー…それも思い出してた」
考え事をしている事を気が付いたのか、カーズは後ろから私に声を掛けてきた
そんなカーズの髪の毛を頬から退かしながら思い出してた事を言った、するとカーズは少し嬉しそうに私達が初めて会った時の事を言い、私の首元に顔を埋めてきた
「ちょっと……くすぐったい」
「俺は嬉しいぞ、ずっと思っていた者とずっと一緒に居られるのだ」
「……カーズって本当羞恥心とかないの?」
「ナマエのためなら羞恥心なんて捨ててやろう」
「本当にしそうだからやめて、そんなカーズ見たくない」
カーズのまたまたぶっ飛んだ発言に苦笑いをしながら返事をする、結婚してから変わらない事だ……いや、結婚する前から変わらない事かもしれない
そう思えば私達は元々こうなる運命だったのかもしれないと少しロマンチックな事を思い浮かべながら、私は後ろから抱え込むように私を抱き締めているカーズの頭を撫でながらそう思った