Short2
□さよなら青春
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学園生活での青春は、大人になってからとても印象に残ったりするようで、大人はそれを思い出しては学生に戻りたいと願うようだ
人の青春はそれぞれ個人差がある、皆で騒いで先生に怒られた事が懐かしかったり、本を貸し借りした時が懐かしかったり、密かに想いを寄せてる人がいたのが懐かしかったり
そんな大人になってから良いものになる青春は、私の前で豹変した
「おはようございますナマエさん!!」
「……お……おはよう……仗助」
毎日ほとんど同じ時間に出るのをやめたのに何故同じ人物が家の前に居るのだ
私の行くところ行くところにこの人物が居る気がするのは気のせいだと願いたい
東方仗助……私の後輩であり、近所に住んでいるある点では幼馴染みでもある、だが中学まではこんな子ではなかった筈だ
「ナマエさん、今日はいつもより早いッスね?なんかあるんスか?」
「うん……まあ……」
昔はタメ口で話していたが、中学に入ってから後輩と言う立場がしっかり出たのか仗助は敬語で話すようになり、私の事もナマエさんと呼ぶようになった
学校までは家からは近く、徒歩通学だ、時々寄り道をするに電車を使う位の距離に駅はある
ピッタリと私の横に並んで歩く仗助を見ていると、仗助がゆっくりと口を開いた
「そういえば昨日は寝るの遅かったスね、駄目ッスよ〜夜ふかしは美容の敵ですからねナマエさん」
仗助の言葉に私は思わず足を止めそうになる、私は確かに昨日はいつもより夜ふかしをした、だが、何故それを仗助が知っている!?
混乱していると仗助が少し早く歩き出し、私の正面に立った、そして私の方を向いてニコリと見慣れた人懐っこい笑顔をして
「俺、ナマエさんの事はちゃんと理解してるんで」
と、自信満々に言ってきた、その言葉に私は思わず目眩がする
「仗助……私言ったよね?監視はやめてって」
「監視じゃないッス、盗聴です」
「いや、明らかに監視して…………今なんか物騒な事言わなかった?」
仗助のサラリと言った言葉に私は若干冷や汗をかきながら聞き返したが、有耶無耶にされ、結局なんなのか分からずじまいだった
そのまま隣の仗助に少し恐怖しながらいつもの校門を潜り、下駄箱で別れた