Short2

□互いの気持ち
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(ポルナレフ視点)


ナマエがスタンド使いに襲われた時、咄嗟に体が動いて車から落ちたナマエを追いかけて行ってしまった

ナマエの態度が変わる筈も無く、いつものように筋肉にビビりながら戦っていたのを覚えている

ナマエの筋肉嫌いは出会った時から知っているがこの中で俺だけって言うのがなんとなく釈然としない、かと言って服装を変えるのもナマエを意識しているが分かってしまうので出来ない


「アヴドゥルー……俺やっぱ諦めるしかねぇのかなぁ」

「……ナマエの事か……」

「そー、だってよぉ、今日も俺が視界に入るのを拒んでたんだぜ?」

「正確にはお前の筋肉だけどな……そればかりはどうしようもないだろう」

「それは知ってるけどよぉ……」


俺はナマエが好きだ、それは軟派な気持ちとかじゃなくて本当に、出会った街でよく女の子に声をかけるがそれはフランス人のサガというか……

ナマエと出会った時も適当に声をかけようとしたのだが、キラキラとした目や可愛らしい容姿に一瞬足がすくんだ、そのスキにナマエは俺から離れてしまったのだが

それから共に行動する度にナマエに惹かれていくのが分かってきて、今ではアヴドゥルに相談する程まで行っている

占ってもらおうとしているのだが、アヴドゥルは占いの結果で決めるのはナマエに悪いと言ってやってもらえない

そういうのじゃなくて、ただ自分を勇気づけたいだけなのだが……ナマエは筋肉がどうしても嫌らしく、そんなナマエと共に居れるのか自分でも心配なのだ


「ナマエはなんであんなに嫌がるんだろうな」

「いや、ポルナレフ……嫌がっているという感じもあるが、その他に何か別の……いや、これは自分で気が付くべきだ」

「何一人で喋ってんだよアヴドゥル」


アヴドゥルがブツブツとなにかを話しているのを見ながら俺はナマエの顔を思い浮かべる、だが俺が見たのはほとんど嫌がっている顔で、時々焦りすぎて顔がなんとなく赤い顔もあるが、頬を染めるなら照れて欲しいなんて思ってしまう

俺はナマエを口説く前に近付くのを拒否されてしまっているので、付き合う事は多分ないのだろうと少し考えたくない考えをしてしまう

ジョースターさんが青春じゃなぁなんて言っているが俺としては全く青春していない、逆にフラれてばかりだ

そう思いながら俺は自嘲的な笑みを浮かべて、グラスに入った酒を少し飲んでみた、カランと音を立てて氷が転がり、なんだか少し切なくなってしまった

俺の表情を見てなにが面白かったのかジョースターさんが少し笑ったが、俺はそれどころじゃない

何も言い返さない俺を見かねてか、ジョースターさんが俺の隣に座り


「まあ、まだまだ旅は長いんじゃ、ゆっくりとナマエと距離を取っていけばいいじゃないか、この旅が無事に終わる頃にはきっとナマエの筋肉嫌いも治っているじゃろうて」

「……そんなもんかなぁ……というか、途中で俺の心が死にそう……」

「大丈夫だろう」


ジョースターさんは肩を叩きながら俺にそう言った、そんなジョースターさんの言葉に俺は少しだけ安心してしまう

ナマエの事でこんなに感情が動いてしまうなんてつくづく俺は惚れてんだな、なんて思った時、またカランと氷がグラスの中で音を立てた
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