Short2

□嫌よ嫌よも嫌いのうち
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これの続き


私、ナマエと言う人間は何故こうも厄介な事に巻き込まれるのだろうか、なにか呪いにでもかかっているのか

そう思えてしまう程、最近の私はついていない

苦手な坂田先生に呼ばれたのだ、どうやらクラス用の国語プリントを運ぶ仕事を勝手に任されたようで、全く不本意だがクラスのためなら仕方がない

溜め息きをつきながら職員室に向かったが、あの教師はどうやら職員室ではなく国語準備室にいるそうで私は思わず変な声が出た

物凄く重たい足取りで国語準備室に入ると坂田先生が丁度ゴツイ男には似合わないプリンを食べていたところだった


「おっ、来たか、今日はもう来ないかと思ってたぜ」

「……学校を一歩出た時、友達に言われ思い出しました」

「え、なにそれもしかして俺が直接伝えたのに忘れてたの?」

「はい」

「…………まあ、いいや、ナマエらしい」


私の言葉に坂田先生はグダーッと机に伏せながら弱々しくそう言ってきた、ちなみにこの仕事を伝えられたのは朝で、もう時間は放課後になっている

簡単な会話をした後、国語のプリントに手を伸ばした時、坂田先生が私に声を掛けて動きを制した


「なんですか」

「うわー、スゲェ怒ってる」

「当たり前じゃないですか、私言いましたよね坂田先生の事は大嫌いだって」

「……嫌よ嫌よも好きのうちっていうじゃん?」

「ありえねぇよ、死ね」

「なんかナマエ前より毒舌!?」


この国語準備室にいるだけでも私としてはストレスなのに坂田先生に声を掛けられて思わず毒舌がエスカレートしていってしまう

少し悲しんでいる坂田先生を放置して私は早々にプリントを運ぼうと持ち上げた、そしてまだ拗ねているようになにかブツブツ呟いている坂田先生に一言言ってから国語準備室を出ようとした

出ようとしたのだ、実際は本気で退室したかった、何故出来なかったのかと言えば原因は一つだ


「ちょっとおイタが過ぎるんじゃねぇのナマエ?」

「………………」


なんですかこれはデジャヴですか、と言いたい位だ……またこのダメダメ教師は私を止めてきた

器用に私の背後から伸ばした手は私の腕をガッシリと掴んでいて、プリントを持っているため私は振り払えない状況だ


「……離してくださいよ、もげますよ」

「えげつねぇ事言うけどそれは絶対に無理だな、プリント持ってるし、離したら全部落ちるぜ?」

「何言ってんですか、もげるのは私の腕です、腐ってもげるんです」

「それどう言う事!?」


真顔でそう言いながら坂田先生を精神的に追い詰めていく、と言うか何故コイツはいつもいつも私にチョッカイをかけて来るのか……

坂田先生の不思議で仕方ない行動に呆れながら私は顔だけ先生の方を向けた、すると目の前の坂田先生は二、三回瞬きをした後、勝ち誇った様にニヤリと口角を上げてきた

そんな坂田先生に溜まっていたストレスが限界点に達して、私は左足を力強く後ろに動かし、坂田先生の脛を踵で蹴った


「ーーーーいッ!!!?」


声にならないような声を上げて私の腕から手を離した坂田先生、その隙に私は床にプリントを素早く丁寧に置いて、涙目でこちらを見ながら屈めていた身体を起こし始めた坂田先生に向かってトドメのボディーブローを食らわせた

凄まじい衝撃で流石に私の拳と肩が悲鳴を上げたが、寧ろ悲鳴を上げたいのは坂田先生の方だろう

膝から崩れ落ちた坂田先生を横目に私は早々に国語準備室から出ることにした


「私が嫌いだと言うのは心からそう思ってるからですよ、先生」


そう言い残して国語準備室の扉を閉めてから私は教室に向かって廊下を歩く事にした

国語準備室から若干苦しそうな唸り声が微かに聞こえるが気のせいだと思い込む事にした
 

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