Short2

□素直な気持ち
3ページ/3ページ



(ジョニィ視点)


ナマエと一緒に回るなんて言い出したディエゴを尾行していると、二人は僕の苦手なお化け屋敷に入って行ってしまった

慌てる僕の後ろでジャイロが呑気にお熱いなんて言い出して、僕は何故かイライラとしてしまった

そして、そのイライラを我慢できずに僕は全速力で走ってお化け屋敷に入った、後ろの方でジャイロの声とお化け屋敷を作ったクラスの係の声が聞こえるが関係ない

僕の苦手な雰囲気の中、ディエゴとナマエを探す、時々驚かされるが睨むと逆に小さい悲鳴を上げて物陰に隠れてしまった

順路通りに進んで行った時、少し狭いところでナマエとディエゴが抱き着いているのが見えた

僕はそれを見た瞬間、自分でも驚くほどの勢いでディエゴに膝蹴りをして、そのままの勢いでナマエの手を掴み出口に向かった


「えっ!?ちょっ……ちょっと!!」


珍しく焦ったナマエの声がする中、僕はお化け屋敷から出て、驚いているジャイロを余所に、そのまま校舎から出る

ライブを見に来たのか、チラホラと生徒が歩く時、僕達はベンチに座っていた


「……ハァ……ハァ……もう、なんなの急に…ジョニィ、アンタ独りで回ってなかったの?」

「……フゥ……ジャイロと回ってた……」

「だからって……なんで私を連れてくのさ……私はディエゴと回るって言ったよね?」

「……お化け屋敷でディエゴに抱き着いてたのは何?」

「ハァ?」

「お化け屋敷に入る時までディエゴの袖を掴んでたのに、お化け屋敷の中では手を掴んでたのは?」

「……何言ってんの?」


荒い息を整えながらナマエと話しているといつの間にか僕は尾行していた事を話していた

そんな僕を動揺した目で見てくるナマエ、そんなナマエの肩を掴んで僕は本当はずっと言いたかった事を言うことにした


「僕がこんなにナマエが好きなのに、なんでナマエは気付かないの?馬鹿なの?確かナマエは悔しい事に僕より頭良かったよね?」


余計な事をまた言ってしまったが、言いたい事は言えた、そんな僕の言葉を聞いてナマエは少し目を見開いてからゆっくりと口を開いた

だが、僕は拒絶されそうな気がしてナマエに話す時間を与えまいと口を動かす


「僕はずっと思ってた、ナマエの友達以上の存在になれたらって、でも僕はいつもナマエに馬鹿にしたような事を言ってて……でも、本当の事を言ったりしたらきっとナマエは僕のことを嫌いになるんじゃないかって」

「ジョニィ……私……」

「そう思えば思うほど、僕はナマエと言い合いになっちゃって、今回も素直に一緒に回ろうと誘いたかったのに結局ナマエはディエゴと回るし……」

「ジョニィ、聞いて」

「聞かない!!きっとナマエは僕の事を嫌……」


今まで言いたかった事を全部吐き出したくって、ナマエが何か言う前に遮っていると、僕の言葉は途中で途切れた

目の前には目を瞑っているナマエの姿が見えた、そして微かにりんごジュースの味が広がった、りんごジュースなんて飲んでないのに

そんな事を思っていると、ナマエはゆっくりと僕から離れて


「……私の言葉も聞いてよ、勝手にペラペラ話し出して……私もジョニィの事が好き、嘘じゃないし本当の事……さっきので分かったでしょう?」


と、少し顔を赤らめながら言ってきた、そんなナマエに僕は情けない事に何も言えなかった

呆然としていると、ナマエは少し唇を舐めて


「……と言うか、ここは普通、コーヒーの味がするもんでしょう、なんでオレンジジュースの味がするのさ、子供?」


と、またいつもの笑いをして言ってきた、そんなナマエに僕もいつも同じように笑い


「ナマエこそ、りんごジュースは糖分が強いからやめろって言ったよね?太るよ」


と、言い返した、それから少し二人で見つめ合って吹き出した

後ろの方でジャイロの泣いているような声とディエゴの呆れる声が聞こえた
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ